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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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3.13 SQL Server 2014 で提供が中止された機能

SQL Server 2005 から SQL Server 2014 との間では、大きな変化はなく、ほとんどの機能をそのまま利用することができますが、変更点がいくつかあります。これらをまとめているのが、SQL Server 2014 のオンライン ブックの以下のトピックになります。

旧バージョンとの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc280407.aspx

00176

このトピックでは、さらに次のトピックに分かれています。

  • SQL Server の旧バージョンとの互換性
    SQL Server のツールや機能など、全体に関する互換性
  • SQL Server データベース エンジンの旧バージョンとの互換性
    データベース関連の互換性
  • Analysis Services の旧バージョンとの互換性
  • Integration Services の旧バージョンとの互換性
  • Reporting Services の旧バージョンとの互換性
  • 旧バージョンとの互換性 (マスター データ サービス)
  • レプリケーションの旧バージョンとの互換性

Analysis Services や Integration Services、Reporting Services、マスター データ サービス、レプリケーション機能を利用している場合は、それぞれのトピックを参照しておくことをお勧めします。

SQL Server 全体や、データベースに関連する部分は、上の 2つ(SQL Server の旧バージョンとの互換性SQL Server データベース エンジンの旧バージョンとの互換性)になるので、ここではこれらについて説明します。

SQL Server の旧バージョンとの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc707787.aspx

00177

SQL Server データベース エンジンの旧バージョンとの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143532.aspx

00178

どちらのトピックも、「非推奨機能」、「提供が中止された機能」(廃止された機能)、「重大な変更」、「動作の変更」の 4つに分かれていて、それぞれの意味は次のとおりです。

00179

提供が中止された機能」は、SQL Server 2014 では利用することができない機能になるので、SQL Server 2005 など以前のバージョンで利用していた場合には、何か別の方法に変更する必要があります。「重大な変更」と「動作の変更」に関しては、動作が変わった部分になるので、既に利用している機能のうち、該当するものがないかどうかをチェックする必要があります。

以降では、これらのトピックに掲載されている主なものを説明します(関係ありそうな部分は、オンライン ブックを参照しておくことをお勧めします)。

◆ 提供が中止された機能

SQL Server の旧バージョンとの互換性トピックに記載されている提供が中止された機能は、次のとおりです。

SQL Server 2014 で提供が中止されたもの

  • 特になし

SQL Server 2012 で提供が中止されたもの

  • Active Directory Helper サービスの提供中止
    (sp_ActiveDirectory_Obj、sp_ActiveDirectory_SCP、sp_ActiveDirectory_Start)

SQL Server 2008 R2 で提供が中止されたもの

  • Reporting Services の Itanium プラットフォームでのサポートの提供中止

SQL Server 2008 で提供が中止されたもの

  • Express エディションでの SQL-DMO の提供中止
  • Web Assistant 機能の提供中止
  • セキュリティ構成ツールの提供中止
  • 自動インストール(無人セットアップ)でのいくつかのパラメーター変更

SQL Server データベース エンジンの旧バージョンとの互換性トピックに記載されている提供が中止された機能は、次のとおりです。

SQL Server 2014 で提供が中止されたもの

  • 互換性レベル「90」(SQL Server 2005 相当の互換性レベル)の提供中止

SQL Server 2012 で提供が中止されたもの

  • 互換性レベル「80」(SQL Server 2000 相当の互換性レベル)の提供中止
  • BACKUP ステートメントでの WITH PASSWORD の提供中止
  • RESTORE ステートメントでの WITH DBO_ONLY の提供中止
  • 構成オプションの「user instance timeout」と「user instances enabled」の提供中止
  • VIA プロトコルの提供中止
  • トリガーでの WITH APPEND 句の提供中止
  • sp_dboption の提供中止(ALTER DATABASE を利用するように変更)
  • SQL Mail の提供中止(データベース メールを利用するように変更)
  • 32 ビットの AWE (Address Windowing Extensions) と 32 ビットのホット アド メモリ サポートの提供中止(代わりに X64 環境を利用するように変更)
  • DATABASEPROPERTY の提供中止(代わりに DATABASEPROPERTYEX を利用するように変更)
  • SQL-DMO の提供中止(代わりに SMO を利用するように変更)
  • FASTFIRSTROW ヒントの提供中止(代わりに OPTION (FAST n) を利用するように変更)
  • sp_addserver によるリモート サーバー機能の提供中止(代わりにリンク サーバーを利用するように変更)
  • sp_dropalias の提供中止
  • PWDCOMPARE の提供中止
  • SMO での Service Broker のプログラミングの提供中止
  • SET DISABLE_DEF_CNST_CHK の提供中止
  • sys.database_principal_aliases の提供中止
  • RAISERROR integer 'string' という形式で利用する RAISERROR の提供中止(RAISERROR(...) 構文を利用するように変更)
  • COMPUTECOMPUTE BY の提供中止(代わりに ROLLUP を利用するように変更)
  • *= および =* の提供中止(代わりに OUTER JOIN を利用するように変更)
  • XEvents(拡張イベント)の変更

SQL Server 2008/2008 R2 で提供が中止されたもの SQL Server 2008 R2 の該当ヘルプより
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms144262(v=sql.105).aspx

  • 互換性レベル 606570 の提供中止(SQL Server 7.0 以前の互換性レベル)
  • sp_addalias の提供中止
  • 登録済みサーバー API の提供中止
  • DUMPLOAD ステートメントの提供中止
  • BACKUP LOG WITH TRUNCATE_ONLY および NO_LOG の提供中止(代わりにログ バックアップを実行するように変更)
  • DBCC CONCURRENCYVIOLATION の提供中止
  • グループ機能(sp_addgroup、sp_changegroup、sp_dropgroup、sp_helpgroup)の提供中止(代わりにロールを利用するように変更)
  • Northwind pubs サンプル データベースの提供中止(代わりに AdventureWorks を提供)

以上が提供が中止された機能になりますが、皆さんのシステムに該当しそうなものは、「互換性レベル 90 の提供中止」、「32ビット AWE の提供中止」(代わりに X64 を利用)「BACKUP LOG WITH TRUNCATE_ONLY の提供中止」(代わりにログ バックアップを利用)あたりではないでしょうか? 互換性レベル 90 については、前述したように大きな変更はないので、そのまま利用できる場合が多いと思います。

◆ 重大な変更

SQL Server の旧バージョンとの互換性トピックに記載されている「重大な変更」は、次のとおりです。

SQL Server 2014 での重大な変更点

  • 特になし

SQL Server 2012 での重大な変更点 SQL Server 2012 の該当ヘルプより
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc707784(v=sql.110).aspx

  • XEvents(拡張イベント)の変更
    resource_monitor_ring_buffer_record/memory_node_oom_ring_buffer_recorded で
    single_pages_kb、multiple_pages_kb が削除、target_kb、pages_kb を追加
  • Sync Framework が含まれなくなった(別途インストールが必要)

SQL Server 2008 R2 での重大な変更点

  • 自動インストール時に /IAcceptSQLServerLicenseTerms が必須になった

SQL Server 2008 での重大な変更点

  • SMO の変更(SmoEnum.dll が削除されているなど)

SQL Server データベース エンジンの旧バージョンとの互換性トピックに記載されている「重大な変更」は、次のとおりです。

SQL Server 2014 での重大な変更点

  • 特になし

SQL Server 2012 での重大な変更点

  • NEXT がキーワードに変更されたので列名やテーブル名に NEXT を利用している場合はエラーが発生する可能性がある(∵シーケンスのサポート)
  • PIVOT は互換性レベルが 110 の場合、再帰 CTE で許可されない
  • アプリケーション ロール(sp_setapprole と sp_unsetapprole)の動作の変更
  • EXECUTE AS のクッキーの OUTPUT パラメーターの動作の変更
  • sys.fn_get_audit_file 関数で 2 つの追加列がある
  • WITHIN が予約キーワードに変更された
  • time および datetime2 データ型の計算列で、CAST または CONVERT で日付/時刻スタイルを省略したときの動作の違い(110 以降では既定のスタイルが 121 になる)
  • ALTER TABLE で 4部構成(server.database.schema.table)のテーブル指定での動作が変更
  • FOR BROWSESET NO_BROWSETABLE ON の動作の変更
  • SOUNDEX 関数では動作の変更
  • DML ステートメントが失敗した場合の RowCount 動作の変更
  • SERVERPROPERTY 関数の動作の変更
  • CREATE LOGIN WITH PASSWORD = 'password' HASHED の動作の変更
  • datetimeoffset で CAST/CONVERT で日付/時刻スタイルを省略したときの動作の変更
  • 動的管理ビューの変更(sys.dm_exec_requests、sys.dm_os_memory_cache_counters、sys.dm_os_memory_cache_entries、sys.dm_os_memory_clerks、sys.dm_os_workers、
    sys.dm_os_memory_nodes、sys.dm_os_memory_objects、sys.dm_os_sys_info)
  • カタログ ビューの変更(sys.data_spaces、sys.partition_schemes、sys.filegroups、sys.partition_functions)
  • geometry、geography、および hierarchyid での Microsoft.SqlServer.Types.dll の変更
  • XQuery 関数のサロゲート対応に伴う動作の変更

SQL Server 2008/2008 R2 での重大な変更点

  • 新しい照合順序の追加(Windows Server 2008 が提供する照合順序に完全対応した新しい照合順序を 80個導入)
  • CLR 統合(SQL CLR)の動作の変更
  • 動的管理ビューの変更(sys.dm_os_sys_info、sys.dm_exec_query_resource_semaphores、sys.dm_exec_query_memory_grants)
  • Windows 認証でのログイン エラー時のエラー番号の変更(SQL Server 2005 では 18452、2008 では 18456)
  • プラン表示の XML スキーマの変更
  • DDL イベント ALTER_AUTHORIZATION_DATABASE の動作の変更
  • CONVERT 関数での無効なスタイルが渡されたときの動作の変更
  • アセンブリに対する EXECUTE 権限の許可、拒否、および取り消しを行うことはできなくなった
  • システム型に対する権限の許可、拒否、および取り消しを行うことができなくなった
  • GROUP BY リストに使用される式にサブクエリを含めることができなくなった
  • OUTPUT 句の動作の変更
  • precompute rank サーバー レベル オプションがサポートされなくなった
  • スナップショット分離で READPAST ヒントを指定することができなくなった
  • sp_helpuser の動作の変更
  • 透過的なデータ暗号化(TDE)がサポートされるようになった
  • XQuery の動作の変更
  • SSL を使用した SQL Server Native Client 接続の動作の変更

以上が重大な変更があったものになりますが、皆さんのシステムに該当するものは少ないのではないでしょうか。

◆ 動作の変更

SQL Server の旧バージョンとの互換性トピックに記載されている「動作の変更」は、次のとおりです。

SQL Server 2014 での動作の変更

  • 特になし

SQL Server 2012 での動作の変更

SQL Server 2012 の該当ヘルプより
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc707785(v=sql.110).aspx

  • マルチサブネット フェールオーバー クラスターがサポートされる
  • フェールオーバー クラスターでの SQL Server エラー検出方法の変更

SQL Server データベース エンジンの旧バージョンとの互換性トピックに記載されている「動作の変更」は、次のとおりです。

SQL Server 2014 での動作の変更

  • XML ドキュメントで 4020 文字を超えた場合の動作の変更

SQL Server 2012 での動作の変更

  • SQLDescribeCol の動作の変更
  • CLR ユーザー定義関数CLR ユーザー定義型の決定的メソッドでたたみ込みが可能になった
  • 空間型の STEnvelope() メソッドの動作の変更
  • LOG 関数で省略可能なパラメーターの追加
  • パーティション インデックス操作中の統計計算の変更
  • XML value メソッドによるデータ型変換の変更
  • XML モードでの sqlcmd.exe の動作変更
  • DBCC CHECKIDENT のメッセージの変更
  • XML データ型に対する exist() 関数の動作の変更

SQL Server 2008/2008 R2 での動作の変更

SQL Server 2008 の該当ヘルプより
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143359(v=sql.100).aspx

  • ジョブのスクリプト生成での動作の変更(@schedule_uid)
  • access check result cache オプションの変更
  • フルテキスト検索のアーキテクチャの変更(データベース エンジンに統合)
  • ループバック リンク サーバーでの動作の変更
  • プラン ガイドの動作の変更
  • パーティション テーブル/インデックスでのクエリ処理方法の変更(クエリ プロセッサの改良)
  • REPLACE 関数で末尾のスペースが切り捨てられるかどうかの動作の違い(SQL Server 2005 では切り捨て、2008 では切り捨てない)
  • Resource データベースが作成される場所の変更
  • tempdb データベースでの PAGE_VERIFY オプションの既定値が CHECKSUM に変更
  • INSERT .. SELECT での最小ログ記録のサポート
  • XML データ型での動作変更(lax 検証、xs:anyType 要素など)

これらも皆さんのシステムに該当するものは少ないのではないでしょうか。

フルテキスト検索機能を利用している場合には、動作が変更されているので、以下のトピックも一読しておくことをお勧めします。

フルテキスト検索における旧バージョンとの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143544.aspx

フルテキスト検索の重大な変更
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143709.aspx

◆ 非推奨機能

非推奨機能は、SQL Server の将来のバージョンで削除される予定の機能なので、すぐに影響があるというわけではありませんが、次のバージョンでは互換性レベル 90(SQL Server 2005 レベル)からのアップグレードがサポートされないことや、将来のバージョンではデータベース ミラーリングが削除される予定であるなど(∵AlwaysOn 可用性グループがあるため)、今後のためにも一通り目を通しておくことのがお勧めです。

SQL Server 2014 の非推奨 SQL Server 機能
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc707789.aspx

00180

SQL Server 2014 データベース エンジンの非推奨機能
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143729.aspx

00181

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