松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
SQL Server 2005 を、SQL Server 2014 へアップグレードした場合は、ユーザー データベースの互換性レベルが「100」(SQL Server 2008 に相当)に自動的にアップグレードされています。
これを確認するには、次のようにユーザー データベースの[プロパティ]の[オプション]ページを表示します。
互換性レベルが「SQL Server 2008 (100)」と表示されていることを確認できます。SQL Server 2014 では、互換性レベルは 100 以降がサポートされているので、90(SQL Server 2005)のデータベースをリストアした場合には、100 へ自動的に上がることになります。
なお、この[プロパティ]ダイアログでは、次のように 90(SQL Server 2005)も表示されますが、選択して、[OK]ボタンをクリックすると、エラーになって 90レベルへ変更することはできません。
SQL Server 2014 で利用できるデータベースの互換性レベルは、次の 3つです。
SQL Server 2005/2008/2008 R2 をアップグレードすると 100、SQL Server 2012 をアップグレードすると 110 が利用されます。
互換性レベルは、100 や 110 のまま利用しても問題はありませんが、より良い性能を考慮するのであれば、120(SQL Server 2014 レベル)に上げておくことがお勧めになります。120 に変更すれば、SQL Server 2014 からの新しい「基数推定」(Cardinarity Estimate)機能を利用することができるからです。基数推定は、クエリ オプティマイザーが推定行数を予測するためのアルゴリズムを改良したものです。また、120 であれば、「SELECT INTO でのパラレル処理」も利用できるようになるので、SELECT INTO の性能向上を実現することができます(110 以下の互換性レベルを利用する場合は、SELECT INTO はシングル スレッドで処理されます)。
互換性レベルの 100/110 と 120 では、細かい修正はありますが(詳しくは後述します)、基本的な Transact-SQL ステートメントであれば同じように利用できるので、多くの環境では問題が出ないと思います(弊社のお客様では、今のところ 4社ほど SQL Server 2005 から SQL Server 2014 へのデータベースの移行を試していますが、何の問題もなく、ストアド プロシージャやアプリケーションを実行することができています)。
互換性レベルを 120 へ上げるには、次のようにデータベースのプロパティの[オプション]ページで、[互換性レベル]に[SQL Server 2014 (120)]を選択して、[OK]ボタンをクリックします。
Transact-SQL ステートメントを利用して互換性レベルを変更したい場合には、次のように ALTER DATABASE ステートメントを利用します。
互換性レベルの違い(動作に変更のあったステートメント)に関しては、オンライン ブックの以下のトピックに記載されています。
ALTER DATABASE 互換性レベル
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/bb510680.aspx
このトピックの主なものを取り上げると、次のようになります(関係ありそうな部分は、オンライン ブックを参照しておくことをお勧めします)。
120 との相違点(110以下と 120との差)
110 との相違点(100以下と 110以上との差)
100 との相違点(90以下と 100以上との差)
いずれも細かい修正点ばかりで、XML や再帰 CTE、OUTPUT 句、フルテキスト検索、ODBC など、関係ないものが多いのではないでしょうか。弊社のお客様のデータベースでは、上記に該当するステートメントは SELECT INTO を除いて、ありませんでした。SELECT INTO のパラレル処理に関しては、非常に便利な機能で、これは互換性レベルを 120 にしないと利用できないので、ぜひ 120 へ上げることを検討してみることをお勧めします。
SQL Server 2005 で互換性レベル 80(SQL Server 2000 との互換性があるレベル)を利用していたデータベースでも、SQL Server 2014 にアップグレードすることができます(アップグレード後に、自動的に 100 レベルに変更されます)。
この場合は、80 で利用できていたものが、100 以降では利用できないということが発生します。例えば、外部結合演算子の「*=」と「=*」は、80 では利用できますが、100以降では利用できないなどです。80(および SQL Server 2000)に関しては、SQL Server 2012 から未サポートになっているので、オンライン ブックの以下のトピックが参考になります。
SQL Server 2014 で廃止されたデータベース エンジンの機能 - SQL Server 2012 で提供が中止された機能
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms144262.aspx
SQL Server 2008 R2 のオンライン ブックでのALTER DATABASE 互換性レベルの「互換性レベル 80 とレベル 90 の相違点」
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/bb510680(v=sql.105).aspx
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