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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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3.14 ケース1「同一マシンでのアップグレード」のまとめ

この章で説明した「ケース1 同一マシンでのアップグレード」についてまとめると、次のようになります。

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◆ アップグレード手順

このケースでのアップグレード手順は、次のとおりです。

1.アップグレード アドバイザーによる事前チェックを行う

アップグレード アドバイザーは、Windows 7 や 8、8.1 などのクライアント OS にインストールして、リモート マシンからチェックすることも可能

2.OS Windows Server 2003/2003 R2 を利用している場合は、Windows Server 2008 SP2 以上にアップグレードする

SQL Server 2014 は、Windows Server 2003/2003 R2 にはインストールできないので、Windows Server 2008 SP2 以上を利用する必要がある。

SQL Server 2005+Windows Server 2003/2003 R2 環境の場合は、SQL Server 2005 を Windows Server 2012/2012 R2 上で動作させることができないので、Windows Server 2008/2008 R2 へアップグレードしてから、SQL Server 2014 へのアップグレードを行う必要がある(SQL Server 2014 のアップグレード完了後に、OS を Windows Server 2012/2012 R2 へアップグレードすることも可能)

3.SQL Server 2014 へのアップグレード要件を確認する(アップグレード可能な Service Pack や .NET Framework 3.5 SP1PowerShell 2.0 など)

SQL Server 2005 は SP5、SQL Server 2008 は SP3、SQL Server 2008 R2 は SP2、SQL Server 2012 は SP1 が必要。

SQL Server 2005 で Windows Server 2008(R2 ではない 2008)を利用している場合は、.NET Framework 3.5 SP1 と、その更新プログラム、PowerShell 2.0 をダウンロード/インストールする必要がある(SQL Server 2008 の場合は、更新プログラムと PowerShell 2.0 のダウンロード/インストールが必要。

Windows Server 2008 R2/2012/2012 R2 の場合は、.NET Framework 3.5 をサーバー マネージャーから有効化する(PowerShell 2.0 のインストールは不要)

4.SQL Server 2014 へのアップグレード インストールを行う

アップグレード中は、.NET Framework 4 が自動インストールされる(Windows Server 2012/2012 R2 の場合は、OS インストール時に自動的に .NET Framework 4.5 がインストールされている)

5.SQL Server 2014 最新の修正プログラム(CU や Service Pack)をインストールする

6.統計(Statistics)を更新する

sp_updatestats を実行して、統計を更新する

7.データベースの互換性レベル120 へ上げる(オプション)

SQL Server 2005 からのアップグレードの場合は、ユーザー データベースの互換性レベルが 100(SQL Server 2008 レベル)に自動的に上がる。SQL Server 2008/2008 R2 からのアップグレードの場合は、100、SQL Server 2012 からの場合は 110 となる。100/110 と120(SQL Server 2014 レベル)では、大きな違いはないので、120 へ上げることがお勧め。120 に上げることで、SELECT INTO のパラレル処理や、新しい基数推定アルゴリズムを利用できるようになる

8.BIDS(Business Intelligence Development Studio)を利用している場合は、SSDT-BI for Visual Studio 2013(SQL Server Data Tools - Business Intelligence for Visual Studio 2013)をインストールする(オプション)

SSDT-BI for Visual Studio 2013 は、Windows 7 や 8、8.1 などのクライアント OS にインストールすることも可能。Windows Server 2008(R2 ではない 2008)にはインストールすることができない。Windows 7 と 8、Windows Server 2008 R2 にインストールする場合には、.NET Framework 4.5.1 をインストールしておく必要がある

9.オンライン ブックをローカル マシンへインストールする(オプション)

SQL Server 2014 からは、オンライン ブックが既定でローカル マシンにインストールされなくなったので、必要な場合はローカル マシンへインストールする

10.コマンドライン ツールのパスの変更(オプション)

sqlcmd や bcp などのコマンドライン ツールは、既定で古いバージョンのツールが利用されるので、SQL Server 2014 バージョンのツールを利用するには、パスを指定して実行する必要がある。あるいは環境変数の PATH を変更する

ケース1のメリットは、以前のバージョンで利用していた機能をほとんどすべてそのまま利用できることです。データベースを以前と変わらずに利用できることはもちろん、ログイン アカウントや、ジョブ警告暗号化リンク サーバーメンテナンス プラン(保守計画)、リソース ガバナー監査(SQL Server Audit)、ポリシー管理データベース メールサーバーの構成オプションなど、以前の SQL Server で設定/利用していた機能を、そのまま SQL Server 2014 上でも利用することができます(パフォーマンス データ コレクションだけは例外で、追加の手順が必要になりますが、これについては後述します)。

また、レプリケーションログ配布データベース ミラーリング可用性グループといったサーバー間の連携機能や、WSFC(Windows Server フェールオーバー クラスタリング)上の SQL Server インスタンスに関しても、アップグレードをすることができます。ログ配布/データベース ミラーリング/可用性グループに関しては、セカンダリを先にアップグレードすることで、ローリング アップグレードも可能です(後述します)。

Integration Services Reporting ServicesAnalysis Services を利用している場合でも、アップグレード インストールをすることによって、以前のバージョンで利用していた Integration Services パッケージや Reporting Services レポート、Analysis Services の多次元キューブを、アップグレード後もそのまま利用することができます(後述します)。

一方で、この方法のデメリットは、アップグレード後に、旧システム環境が利用できなくなってしまう(以前のバージョンの SQL Server が完全に利用できなくなってしまう)ことです。これだと、万が一アップグレードに失敗してしまった場合には、元の環境に戻すのが大変になり、失敗時は、(最悪は)OS のインストールからやり直して、バックアップからすべてを復元しなければならない場合があります。

したがって、このケースを利用する場合は、万が一のアップグレード失敗時に備えて、元の環境でしっかりとバックアップを取得しておくこと、元へ戻す手順(ロールバック手順)をしっかりと計画しておくことが重要になります。また、次の章で説明する「ケース2 新規サーバーへのアップグレード」のように、ハードウェア リプレースを伴うアップグレードの場合であれば、元の環境をそのまま残しておくことができるので、万が一の失敗時にもすぐに元の環境に戻せるようになります。

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