松本美穂と松本崇博が執筆した Power BI 自習書シリーズの「No.1 無料で利用できる Power BI を試しみよう」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
ここまでは、都道府県別の人口データをグラフにしてきましたが、次に、都道府県別の面積データを取得して、人口と面積の関係性(人口密度など)をグラフ化(レポート化)してみましょう。
都道府県別の面積データは、次のように Wikipedia(ウィキペディア)にある「都道府県の面積一覧」から取得します。
都道府県の面積一覧
http://ja.wikipedia.org/wiki/都道府県の面積一覧
この Web ページにある面積の一覧表は、一見すると1つのテーブルのように見えますが、実際には、3つのテーブル(Table タグ)に分かれているのがポイントです。
Power BI Desktop からデータを取得する際も 3つの別々のテーブルとして認識されるので、これを UNION(統合/連結)する加工処理を行っていきます。
1.Power BI Desktop で作成している既存のレポートに、データソースを追加するには、次のように[データを取得]メニューの[Web]をクリックします。
[Web から]ダイアログでは、以下の URL を入力して、[OK]ボタンをクリックします。
http://ja.wikipedia.org/wiki/都道府県の面積一覧
2.Web ページへの接続が成功すると、次のように[ナビゲーター]ダイアログが表示されます。
このダイアログでは、[2014年 面積の順位[編集]]を選択すると、「日本全土」と「北海道」から「宮城県」までの面積データであることを確認できるので、これをチェックします。
3.次に、もう1つの[2014年 面積の順位[編集]]を選択すると、今度は「岡山県」から「富山県」までの面積データになっているので、これもチェックします。
今回の Web ページでは、都道府県の面積データが 3つのテーブル(Table タグ)に分かれているので、Power BI からは 3つの別々のテーブルとして認識されています。
4.続いて、もう1つの[2014年 面積の順位[編集]]を選択すると、今度は「福井県」から「香川県」までの面積データになっているので、これもチェックします。
3つのテーブルをチェックしたら、[編集]ボタンをクリックします。これで、クエリを編集するためのクエリ エディターを開くことをできます。
5.クエリ エディターが開いたら、次のように 3つのテーブルがクエリとして追加されていることを確認できます。3つのテーブルの名前が全て同じだったので、2つ目以降のクエリには [2]、[3] という接尾値が付与されています。
6.次に、1つ目のクエリ(2014年 面積の順位[編集])から、先頭の行にある「日本全土」のデータを削除します。削除する方法は、前の手順で試した[上位の行の削除]で行うことができますが、ここではあえて違う方法(フィルター機能)を試します。
次のように[都道府県]列の隣の[▼]をクリックすると、列にある値(都道府県)の一覧が表示されるので、ここで「日本全土」のチェックを外して、[OK]ボタンをクリックします。
これで、日本全土のデータを削除することができます。
7.次に、面積データを格納している[面積]列の[データ型]が「10進数」であることを確認して、10進数になっていない場合は、10進数に変更します。
8.同様に、2つ目と 3つ目のクエリ(2014年 面積の順位[編集] [2]、2014年 面積の順位[編集] [3])についても、[面積]列のデータ型が「10進数」であることを確認します(そうでない場合は、変更します)。
9.次に、1つ目のクエリの名前を「都道府県別の面積」に変更します。次のように[クエリの設定]ペインの[プロパティ]セクションで、[名前]に「都道府県別の面積」と入力します。
1.次に、[クエリの追加](UNION)機能を利用して、3つのクエリを連結します。次のように[都道府県別の面積]クエリを選択して、[ホーム]タブの[クエリの追加]をクリックします。
[追加]ダイアログが表示されたら、[追加するテーブルを選択します]で、2つ目のクエリである「2014年 面積の順位[編集] [2]」を選択して、[OK]ボタンをクリックします。
これで、2つ目のクエリ(岡山県から富山県までのデータ)を、1つ目のクエリ(都道府県別の面積)に統合(UNION)することができました。 2.続いて、3つ目のクエリ「2014年 面積の順位[編集] [3]」についても同様に操作します。
これで、3つ目のクエリ(福井県から香川県までのデータ)を、1つ目のクエリ(都道府県別の面積)に、統合(UNION)することができました。 1.クエリを統合した後は、2つ目のクエリと3つ目のクエリが不要になるので、不要になったクエリは、次のように読み込みを無効化しておくと、レポートを作成しやすくなります。 2つ目のクエリ「2014年 面積の順位[編集] [2]」の読み込みを無効化
3つ目のクエリ「2014年 面積の順位[編集] [3]」の読み込みを無効化
2.設定が完了したら、[ホーム]タブで[閉じて適用]をクリックして、クエリ エディターを閉じます。
3.レポート デザイナーが表示されたら、[フィールド]ペインに「都道府県別の面積」クエリが追加されていることを確認できます(読み込みを無効化した2つ目のクエリと3つ目のクエリは、[フィールド]ペインには表示されていないことも確認できます)。
1.次に、「都道府県別の面積」クエリを利用して、レポートを作成していきます。まずは、レポートの下部にある[+]ボタンをクリックして、新しいレポート ページを作成します。
2.新しいレポート ページが表示されたら、[フィールド]ペインで「都道府県別の面積」クエリを展開して、[都道府県]と[面積]をチェックします。
これで、都道府県ごとの面積を表形式で確認することができます。 3.次に、[視覚化]ペインで[Treemap]をクリックして、Treempap グラフに変更します。
面積が一番大きい「北海道」が左上に表示されて、「岩手県 → 福島県 → 長野県 → ・・・」と続いていることを確認できます。 4.次に、[視覚化]ペインで[縦棒グラフ]をクリックして、縦棒グラフに変更します。
縦棒グラフの場合は、既定で軸(都道府県)の値で並べられます。都道府県データは漢字なので、漢字コード順に並んでいて、愛知県が先頭にきています。別の列で並べ替える方法もあるので、これについては後述の手順で試します。 5.次に、縦棒グラフを面積の大きさで並べ替えてみます。並べ替えを変更するには、次のようにグラフの右上の[・・・]をクリックして、[並べ替え]で[面積]を選択します。
6.次に、「面積」と「人口」を同じグラフ内に表示するために、[フィールド]ペインで「都道府県別の人口」クエリを展開して、[2010年]をチェックします。
これで、同じグラフ内に、2010年の人口が追加されますが、人口は何百万人という単位、面積は数千km² という単位で、このままだと違いが分かりづらいので、次は複合グラフに変更していきます。 1.次に、[視覚化]ペインで[折れ線グラフおよび積み上げ縦棒グラフ]を選択して、グラフの種類を複合グラフに変更します。
2.次に、[2010年]を[線の値]にドラッグ&ドロップで移動します。
これで、2010年の人口データが折れ線グラフに変わって、軸も右側に表示されて(2Y軸グラフになって)、人口と面積の比較が分かりやすくなります。正確には、面積データは 2014年、人口データは 2010年のものになるので、正確な比較にはならないのですが、複数のデータソースを簡単に連動させられる(マッシュアップする)例として試してみてください。 このように、Power BI Desktop では、別々のデータソースから取得(人口と面積は別々の Webページから取得)したものでも、(都道府県という列名が同じなので)自動的にリレーションシップが貼られて(後ほど確認します)、このように同じグラフ内で比較することができます。今回は、Web 上のデータソースを 2つ利用しましたが、さまざまなデータソース(SQL Server などをはじめとするリレーショナル データベースや、Google Analytics、Twillio、Facebook、Twitter などのインターネット上のサービス、Excel や CSV ファイルなど)から、データソースの種類を問わず、簡単に、連動したグラフを作成できる(マッシュアップできる)のが、Power BI の非常に大きな利点の1つです。 1.次に、スライサー機能を利用して、データの絞り込みを試してみます。まずは、レポート上の何もない領域をクリックして、[都道府県別の面積]クエリの[都道府県]をチェックします。
2.次に、[視覚化]ペインでグラフの種類を[スライサー]に変更します。
これで、データの絞り込みが行えるスライサーに変わります。 3.次に、スライサー上の[茨城県]をチェックしてみます。
グラフが茨城県のデータのみに絞り込まれたことを確認できます。 4.次に、[岩手県]と[岐阜県]、[宮崎県]もチェックします。
チェックしたデータのみに絞り込まれたことを確認できます。 5.次に、データの絞り込みを解除するために、スライサーの右上の[選択解除](消しゴムのマークのアイコン)をクリックします。
このようにスライサー機能を利用すると、データの絞り込みを簡単に行えるようになるので、大変便利です。 1.今回、人口と面積のデータを取得しましたが、内部的には都道府県の名前で自動的にリレーションシップが貼られていることによって、データが連動するようになってします。このことを確認するために、次のように画面左側の[リレーションシップ]をクリックしてみます。
リレーションシップ デザイナーが表示されて、クエリ間のリレーションシップをグラフィカルに確認することができます。リレーションシップ(線)をクリックすると、それぞれのクエリの「都道府県」列がハイライトされて(四角い枠で囲まれて)、「都道府県」列でリレーションシップが貼られていることを確認できます。 なお、手動でリレーションシップを作成したり、より具体的にリレーションシップを管理したい場合には、次のようにリボンの[リレーションシップの管理]ボタンをクリックします。
既存のリレーションシップの内容を確認したい場合には[編集]ボタン、新しくリレーションシップを作成した場合には[新規]ボタンをクリックすることで行うことができます。◆ クエリの追加(UNION で複数のクエリを統合/連結)
◆ 不要になったクエリの読み込みの無効化
◆ レポートの作成(都道府県別の面積)
◆ 複合グラフ(折れ線グラフと縦棒グラフの組み合わせ。2Y軸)
◆ スライサーによるデータの絞り込み
◆ リレーションシップの確認
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