1.1 Power BI の概要(無料で利用できる)
Power BI は、無料で利用することができる「BI(Business Intelligence)ツール」です。無料で利用できるようになったのは、2015年 7月から提供された最新バージョンからで、それまでは有償版のみ(Power BI for Office 365)の提供でした。
Power BI を利用すれば、レポートの作成や共有ができることはもちろん、さまざまなデータソースからデータを取得したり、取得したデータの加工(いわゆる ETL:Extract/Transform/Load やクレンジング処理)までもを行うことができます。しかも、これらはプログラムを一切記述することなく実現することができるので、まさに BI を強力に(Powerful に)推進できるツールです。
Power BI では、次のような分析レポートを簡単に作成することができます。
ノン コーディングで、多彩なグラフ/チャートを作成することができ、棒グラフはもちろんのこと、折れ線グラフや円グラフ、Treemap、ウォーターフォール(滝)グラフ、地図(マップ)、散布図(バブル)、ゲージ、Funnel(漏斗)、複合グラフ(2Y軸)、面グラフなどを簡単に作成することができます。
また、作成したレポートは、モバイル デバイスにも対応しているので、スマートフォンやタブレット(iPhone や iPad、Android 端末など)からも参照することができます。Power BI サイトは、HTML5 で描画されているので、一般的な Web ブラウザーがあれば、レポートを参照することができ、また、参照だけではなく、モバイル デバイスからでもレポートの編集を行ったりすることができます。
次の写真は、スマートフォンから Power BI サイトにアクセスしているときの様子です。
Power BI の主な特徴
Power BI の主な特徴をまとめると、次のようになります。
◆ 無料で利用できる(登録にクレジット カードは不要)
Power BI には、無料版と有料版があり、データ容量が 1GB までなら無料で利用できる。登録にクレジット カードは不要。無料版と有料版との違いについては後述
◆ ノン コーディングで、見栄えの良いレポート/ダッシュボードを作成できる
プログラムを記述することなく、簡単にレポート/ダッシュボードを作成できる。多彩なグラフ/チャートが利用可能で、棒グラフや円グラフ、Treemap、ウォーターフォール(滝)グラフ、地図(マップ)、散布図(バブル)、折れ線、面、ドーナッツ、Funnel(漏斗)、ゲージ、カード、マトリックス(クロス集計表)などを利用できる
◆ モバイル対応(iOS、Android 端末にも対応)
Power BI サイトは、HTML5 で描画されているので、スマートフォンやタブレット端末からレポートを参照/編集できる。
モバイル向けに最適化されたアプリ(iOS や Android 用の Power BI App)を利用して、レポートを参照することも可能
◆ Google Analytics や Facebook、Salesforce にも対応(SaaS への接続も可能)
Google Analytics や Facebook、Salesforce、Twillio などの他社製サービスやクラウド サービス(いわゆる SaaS:Software as a Service)に接続して、データ分析レポートを簡単に作成することができる。次のように、レポートを作成するためのテンプレートが多数用意されている。
◆ オープン データの取得も可能
Power BI は、Web 上のデータソース(CSV ファイルや Excel ファイル、HTML の
タグ、XML ファイル、JSON ファイル)を取得することもできる。したがって、政府や自治体が一般公開しているオープンデータを取得して、レポートを作成することができる。
◆ ライブ レポートにも対応(Twitter のリアルタイム分析なども可能)
Power BI は、Azure Stream Analytics(Microsoft の提供するクラウド サービスの 1つで、ストリーム データを処理することが可能)と組み合わせれば、ライブ レポート(リアルタイムに、動的更新されるレポート)を作成することもできる。Twitter データの可視化や、IoT(Internet of Things)データの可視化などで利用することもできる。
大量トランザクション データの場合は、Azure Event Hub(Microsoft の提供するクラウド サービスの 1つで、高速なデータ蓄積が可能なサービス)と組み合わせることで対応できる。
◆ 機械学習/予測レポートにも対応
Azure Machine Learning(Microsoft の提供するクラウド サービスの 1つで、機会学習機能を提供)と組み合わせれば、機械学習/予測を利用したレポートを作成することもできる
◆ さまざまなデータ ソースからのデータ取得が可能(マッシュアップもできる)
Power BI は、さまざまなデータ ソースからデータを取得することができる
以下のデータ ソースからデータ取得が可能で、今後、さらに増える予定有り。
Web ページ内の <Table> タグや URLアクセスが可能なファイル(Excel や CSV、XML、JSON、Text など)、Hadoopファイル(HDFS)、SQL Server、Oracle、DB2、MySQL、PostgreSQL、ODBC、Teradata、Sybase、Access、Microsoft Azure 上の各種サービス(Azure SQL Database、Azure SQL Data Warehouse、Azure HDInsight、BLOB/テーブル ストレージ、Marketplace)、Active Directory、Salesforce、GitHub、SweetIQ、Google Analytics、Twillio、QuickBooks、Facebook、Zendesk、OData、Exchange、SharePoint リスト、Dynamic CRM など
◆ データの加工処理が行える(ETL/クレンジング処理が可能)
データソースから取得したデータに対しては、ETL(Extract/Transform/Load)およびクレンジング処理が行えるので、グラフやチャートを作りやすい形にデータ加工できる。異なるデータ ソースをまたがったリレーションシップも作成できるので、マッシュアップが可能
◆ 自然言語(Natural Language)で、レポートを作成できる。
質問形式でレポートを作成することができる。今後、Windows 10 で提供された音声認識アシスタントであるコルタナ(Cortana)を利用して、人間の声でレポートを作成できるようになる(Cortana Analytics として提供予定)
◆ データの定期更新が可能
データ ソースからの定期的なデータ取得が可能(スケジュール設定ができる)
◆ インタラクティブなグラフ操作が可能
グラフで選択した項目に連動して、他のグラフが変化する。スライサーやフィルター機能を利用したデータの絞り込みも可能
◆ レポートの共有が可能
作成した Power BI ダッシュボードは、複数のユーザーで共有することができる
◆ 新しい機能がすぐに提供される(常に進化)
Power BI サイトは、クラウド上のサービスなので、新しい機能がすぐに提供される。本ドキュメントを執筆している2ヶ月の間にも、2回の Update がかかるなど、常に進化している。
Power BI は、マイクロソフトの提供するクラウド サービスである「Microsoft Azure」と同様、ユーザーからのフィードバックによって、それを取り入れて、どんどん進化しています。現在は提供されていない機能であったとしても、それが数ヶ月後には提供されている、といったことも、筆者はこれまでに何回も遭遇しているので、気になるところがあったら、フィードバックを送信しておくことをお勧めします。
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