松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2016 実践シリーズの「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。なお、記載している内容は、2016年 12月時点での情報になります。[2018年12月29日]
この章では、このドキュメントで扱う 3つのケースのうちの「ケース1 同一マシンでのアップグレード」(インプレース アップグレード)について説明します。
このケースでのアップグレード手順の概要は、次のとおりです。
1.Data Migration Assistantによる事前チェックを行う
2.OS に Windows Server 2003 や 2003 R2、2008、2008 R2 を利用している場合は、Windows Server 2012 以上にアップグレードする
3.OS のアップグレードにあたっては、SQL Server を動作させるための Service Pack 要件を確認する(例えば、Windows Server 2012 にアップグレードする場合に、SQL Server 2008 なら SP3、SQL Server 2008 R2 なら SP1 が必要など)
4.SQL Server 2016 へのアップグレード要件を確認する(アップグレード可能な Service Pack を確認。例えば、SQL Server 2008 なら SP4、SQL Server 2008 R2 なら SP3 が必要など)
5.SQL Server 2016 へのアップグレード インストールを行う
6.SQL Server 2016 の最新の修正プログラム(CU や Service Pack)をインストールする
7.Management Studio(管理ツール)の最新版をダウンロードして、インストールする(オプション)
8.統計(Statistics)を更新する
9.データベースの互換性レベルを 130 へ上げる(オプション)
10.BIDS(Business Intelligence Development Studio)や SSDT-BI(SQL Server Data Tools - Business Intelligence)を利用している場合は、SSDT の最新版をダウンロードして、インストールする(オプション)
この方法のメリットは、以前のバージョンで利用していた機能をほとんどすべてそのまま利用できることです。データベースを以前と変わらずに利用できることはもちろん、ログイン アカウントや、ジョブ、警告、暗号化、リンク サーバー、メンテナンス プラン(保守計画)、リソース ガバナー、監査(SQL Server Audit)、データベース メール、サーバーの構成オプションなど、以前の SQL Server で設定/利用していた機能を、そのまま SQL Server 2016 上でも利用することができます。
また、レプリケーションやログ配布、データベース ミラーリング、可用性グループといったサーバー間の連携機能や、WSFC(Windows Server フェールオーバー クラスタリング)上の SQL Server インスタンスに関しても、アップグレードをすることができます。ログ配布/データベース ミラーリング/可用性グループに関しては、セカンダリを先にアップグレードすることで、ローリング アップグレードも可能です(ローリング アップグレードによって、セカンダリをアップグレード中でも、プライマリを利用することができるので、ダウンタイムを最小限に抑えることができます)。
Integration Services や Reporting Services、Analysis Services を利用している場合でも、アップグレード インストールをすることによって、以前のバージョンで利用していた Integration Services パッケージや Reporting Services レポート、Analysis Services の多次元キューブを、アップグレード後もそのまま利用することができます(これらの機能については、この章の後半で説明します)。
一方で、この方法のデメリットは、アップグレード後に、旧システム環境が利用できなくなってしまう(以前のバージョンの SQL Server が完全に利用できなくなってしまう)ことです。これだと、万が一アップグレードに失敗してしまった場合には、元の環境に戻すのが大変になり、失敗時は、(最悪は)OS のインストールからやり直して、バックアップからすべてを復元しなければならない場合があります。
したがって、このケースを利用する場合は、万が一のアップグレード失敗時に備えて、元の環境でしっかりとバックアップを取得しておくこと、元へ戻す手順(ロールバック手順)をしっかりと計画しておくことが重要になります。また、次の章で説明する「ケース2 新規サーバーへのアップグレード」のように、ハードウェア リプレースを伴うアップグレードの場合であれば、元の環境をそのまま残しておくことができるので、万が一の失敗時にもすぐに元の環境に戻せるようになります。
以降では、ケース1 でのアップグレード手順について、1つ 1つの手順を詳しく説明します。
第60回:SQL Server 2017 自習書 No.3「SQL Server 2017 Machine Learning Services」のご案内
第59回:SQL Server 2017 自習書 No.2「SQL Server 2017 on Linux」のご案内
第58回:SQL Server 2017 自習書 No.1「SQL Server 2017 新機能の概要」のご案内
第57回:SQL Server 2017 RC 版とこれまでのドキュメントのまとめ
第56回:「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」完成&公開!
第55回:書籍「SQL Server 2016の教科書 開発編」(ソシム)が発刊されました
第54回:「SQL Server 2016 プレビュー版 Reporting Services の新機能」自習書のお知らせ
第 53 回:SQL Server 2016 Reporting Services の新しくなったレポート マネージャーとモバイル レポート機能
第 52 回:SQL Server 2016 の自習書を作成しました!
第 51 回:PASS Summit と MVP Summit で進化を確信!
第 50 回:新しくなった Power BI(2.0)の自習書を作成しました!
第49 回:Excel 2016 の Power Query を使う
第 48 回:新しくなった Microsoft Power BI ! 無料版がある!!
第 47 回:「Microsoft Azure SQL Database 入門」 完成&公開!
第 46 回:Microsoft Power BI for Windows app からの Power BI サイト アクセス
第 45 回:Power Query で取得したデータを PowerPivot へ読み込む方法と PowerPivot for Excel 自習書のご紹介
第44回:「SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」ドキュメントを作成しました
第43回:SQL Server 2014 インメモリ OLTP 機能の上級者向けドキュメントを作成しました
第42回:Power Query プレビュー版 と Power BI for Office 365 へのクエリ保存(共有クエリ)
第41回:「SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要」自習書のお知らせです
第40回: SQL Server 2012 自習書(HTML版)を掲載しました
第39回: Power BI for Office 365 プレビュー版は試されましたか?
第38回: SQL Server 2014 CTP2 の公開
第37回: SQL Server 2014 CTP1 の自習書をご覧ください
第36回: SQL Server 2014 CTP1 のクラスター化列ストア インデックスを試す
第35回: SQL Server 2014 CTP1 のインメモリ OLTP の基本操作を試す
第34回: GeoFlow for Excel 2013 のプレビュー版を試す
第33回: iPad と iPhone からの SQL Server 2012 Reporting Servicesのレポート閲覧
第32回: PASS Summit 2012 参加レポート
第31回: SQL Server 2012 Reporting Services 自習書のお知らせ
第30回: SQL Server 2012(RTM 版)の新機能 自習書をご覧ください
第29回: 書籍「SQL Server 2012の教科書 開発編」のお知らせ
第26回: SQL Server 2012 の Power View 機能のご紹介
第25回: SQL Server 2012 の Data Quality Services
第24回: SQL Server 2012 自習書のご案内と初セミナー報告
第23回: Denali CTP1 が公開されました
第22回 チューニングに王道あらず
第21回 Microsoft TechEd 2010 終了しました
第20回 Microsoft TechEd Japan 2010 今年も登壇します
第19回 SQL Server 2008 R2 RTM の 日本語版が公開されました
第18回 「SQL Azure 入門」自習書のご案内
第17回 SQL Server 2008 自習書の追加ドキュメントのお知らせ
第16回 SQL Server 2008 R2 自習書とプレビュー セミナーのお知らせ
第15回 SQL Server 2008 R2 Reporting Services と新刊のお知らせ
第14回 TechEd 2009 のご報告と SQL Server 2008 R2 について
第13回 SQL Server 2008 R2 の CTP 版が公開されました
第12回 MVP Summit 2009 in Seattle へ参加