松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
アプリケーション(ADO.NET)からネイティブ コンパイル SP を実行するときは、次のようにSqlCommand オブジェクトの CommandText をネイティブ コンパイル SP の名前を指定して、CommandType を「CommandType.StoredProcedure」へ変更すると説明しました。
このように記述すると、内部的には、次のように EXEC に変換されて実行されています。
この他にもネイティブ コンパイル SP を実行する方法があるので、ここではそれらの実行方法の違いによる性能差を説明します。結論から言うと、上のように実行するのが最も性能が出る実行方法になります。
アプリケーション(ADO.NET)からネイティブ コンパイル SP を実行するには、次の 3つの方法があります。
実行方法1 は、最初に説明したコードです。
実行方法2は、CommandType の既定値である「CommandType.Text」を利用して、SqlParameter(パラメーター)も利用する方法です(前述の Note で少し紹介しました)。具体的には、次のように利用します。
このように実行した場合は、内部的には、次のように sp_executesql に変換されます。
実行方法3は、実行方法2と同じく「CommandType.Text」を利用しますが、実行方法3ではSqlParameter を利用しないで、文字列連結を利用します。具体的には、次のように記述します。
この方法では、パラメーターを文字列として埋め込んで、「&」で文字列連結して、実行しています。このように実行した場合は、内部的には、次のようにそのまま実行されます。
3つの実行性能を比較すると、次のようになります(3列構成のメモリ最適化テーブルへ Insertを行った場合)。
結果は、実行方法1 が一番速く実行することができ、実行方法2は、約 7%遅くなり、実行方法3 では、約 20% 遅くなることを確認することができました。実行方法3は、ネイティブ コンパイル SP を作成しないで、INSERT ステートメントを直接実行する(CommandText へ INSERT を記述したもの)よりも遅い結果となってしまいました。
このように、せっかくネイティブ コンパイル SP を作成しても、SqlParameter を利用しなかったり、CommandType をきちんと指定していない場合には、ネイティブ コンパイル SP の性能メリットを享受することができず、実行方法3を選択してしまうと、逆に遅くなってしまうこともあるので、実行方法3 は選択しないようにしましょう。
私は、当初、アプリケーションの修正をできる限り少なくするためにと思って、実行方法2 を選択してしまっていたのですが、これで性能テストを行ったときに、性能メリットをあまり感じることができず、せっかくネイティブ コンパイル SP を作成したのに何故???と何日も悩んでしまいました。実行方法1と2では、修正箇所は1行増えるかどうかしか変わらないのですが、1行コメントして、1行変更したほうがコード上の修正が見やすいと思って、誤選択をしてしまいました...
実行方法1 を利用すれば、性能メリットを享受することができるので、実行方法1 を利用することをお勧めします。
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