松本美穂と松本崇博が執筆した Power BI 自習書シリーズの「No.1 無料で利用できる Power BI を試しみよう」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
以前の Power BI(通称 Power BI 1.0)から、最新版の Power BI (通称 Power BI 2.0)に移行するには、Power BI Desktop ツールの「インポート」機能を利用します。これを利用すれば、Power BI 1.0 で作成した Excel ファイル(Power Query で作成したクエリや、PowerPivot のデータ モデル、Power View のレポートなど)を Power BI Desktop ツールにインポートして、Power BI 2.0 形式(HTML5 ベースのレポート)に変換することができます。
それでは、これを試してみましょう。
1.Power BI Desktop で、Power BI 1.0 の Excel ファイル(.xlsx)をインポートするには、次のように[ファイル]メニューの[インポート]から[Excel ブック コンテンツ]をクリックします。
[開く]ダイアログが表示されたら、Excel ファイルを選択して、[開く]ボタンをクリックします。
2.[Excel ブック コンテンツをインポートする]ダイアログが表示されたら、内容を確認した上で、[開始]ボタンをクリックします。
これでインポートが開始されます。
3.インポート中は、次のように進行状況が表示されます。
なお、元の Excel ファイルで、PowerPivot のリンクテーブル機能を利用している場合は、次のように[データのコピー]をするか、[接続を維持]するかを尋ねられます。
4.インポートが完了すると、次のように「移行が完了しました」と表示されます。
各セクション(クエリやデータ モデルなど)ごとに、移行された項目がリストされます。
なお、PowerPivot のデータモデルで KPI(Key Performance Indicator)を設定している場合には、(執筆時点では)KPI がサポートされていないので、次のようにメジャーに変換された主旨のメッセージが表示されます。
5.インポート後は、Power View のレポート(Silverlight ベースのレポート)が、Power BI 2.0形式のレポート(HTML5 ベース)に変換されていることを確認できます。
なお、詳しくは後述しますが、移行できない種類のグラフがある場合には、次のように「このビジュアルの種類はまだサポートされていません」と表示されます。
執筆時点では、タイルや、再生軸を持った散布図、階層を利用したドリルダウン、マルチプル グラフ、URL 画像、バイナリデータなどがサポートされていませんが、[詳細を確認する]をクリックすると、「近日中にサポートされる予定です」と表示されます。なお、後述の OneDrive for Business 機能を利用した場合には、従来ながらの Power View 形式のレポートを Web 上で参照することができるので、サポートされていないグラフを利用している場合には、サポートされるまでの間は、これを利用するという回避策もあります。
1.インポート機能によって、Power Query のクエリと PowerPivot のデータ ソースへの接続は、Power BI 2.0 での「クエリ」に変換されます。これも確認しておきましょう。
2.データベース(SQL Server など)への接続などがある場合には、権限と資格情報を再設定する必要があるので、[権限の編集]ボタンをクリックして設定します。
1.インポート機能によって、PowerPivot のデータ モデルは、Power BI 2.0 での「データ モデル」に変換されます。DAX 式についても移行されているので、これを確認しておきましょう。
1.PowerPivot のデータ モデルで設定したリレーションシップについても、インポートによってそのまま引き継がれます。これも確認しておきましょう。
リレーションシップだけでなく、テーブルの非表示や、列の非表示の設定なども、移行されていることを確認できます。ただし、(執筆時点では)階層や KPI がサポートされていないので、階層は通常のフィールド、KPI はメジャーに自動変換されています。
以上のように、インポート機能を利用することで、Power BI 1.0 の Excel ファイルを、Power BI 2.0 形式に移行することができます。前述したように、移行できないグラフがある場合には、次のように「近日中にサポートされる予定です」と表示されます。
このように、移行できなかったグラフがあるレポートを、Power BI サイトに発行した場合、次のように[レポートの編集]でレポートの編集をしようとすると、[保存]ボタンをクリックしたときに、保存できないという事態になります。
レポートを保存できるようするには、移行できなかったグラフを削除しなければなりません。このように移行できないグラフに関しては、後述の OneDrive for Business を利用して参照するという方法もあるので、これについては後述します。
執筆時点では、次のグラフを移行することができません。
これらは、執筆時点ではサポートされていませんが、順次サポートされていく予定があります(2015/12 追記: 2015/12 時点では、再生軸を持つ散布図、マルチプル グラフ、画像の URL がサポートされました)。
また、Excel のアドインとしての Power View や Power Query、PowerPivot 機能は、Power BI Desktop とは別途、継続提供されていく予定もあるので、従来通り、Excel の機能を利用して、共有していくことができます(後述の OneDrive for Business を利用すると共有しやすくなり、有償版の Power BI Pro のグループ機能を利用するとさらに共有しやすくなります)。
また、Power BI 1.0 で利用可能な次の機能も、執筆時点では移行することができません。
これらの機能についても、後述の OneDrive for Business を利用して、共有をしていくという回避策があります。
また、これらの制限事項は、随時変更されていく可能性(サポートされていく可能性)があるので、最新情報は、Power BI Desktop のヘルプの「インポート」セクション(以下の URL)が参考になると思います。
Import Excel workbooks into Power BI Desktop
https://support.powerbi.com/knowledgebase/articles/703422
また、移行に関するドキュメント「Migrating from Power BI for Office 365 to Power BI Pro」も提供されている(以下の URL)ので、こちらも一読しておくことをお勧めします。
Migrating to the new Power BI experience
https://support.powerbi.com/knowledgebase/articles/492388-migrating-to-the-new-power-bi-experience
また、Power BI の Update に関する情報は、Power BI チームの Blog で逐次発信されているので、こちらもウォッチしておくことをお勧めします。
Power BI チームの Blog
http://blogs.msdn.com/b/powerbi
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