松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 自習書シリーズの「No.5 Microsoft Azure SQL Database 入門」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
次に、Management Studio の「スクリプト生成ウィザード」を利用したデータベースの移行方法を説明します。この方法は、データ量が少ない場合(数千件レベルの場合)にお勧めです。スクリプト生成ウィザードを利用すると、すべてのオブジェクト(テーブル作成の CREATE TABLE だけでなく、ビュー作成の CREATE VIEW、権限設定の GRANT、データを追加するための INSERT ステートメントなど)をスクリプト化することができます。スクリプト生成ウィザードは、SQL Server 2008 R2 以降の Management Studio であれば、Azure SQL Database に対応したスクリプトを生成することができます。
それでは、スクリプト生成ウィザードを利用して、データベースを移行してみましょう。
1.スクリプト生成ウィザードは、次のように Management Studio のオブジェクト エクスプローラーで、移行元の SQL Server に接続して、移行元となるデータベース(NorthwindJ)を右クリックし、[タスク]メニューの「スクリプトの生成」をクリックすることで起動することができます。
2.ウィザードが開始されたら、[次へ]ボタンをクリックして、次のページへ進みます。
3.次の[オブジェクトの選択]ページでは、「データベース全体とすべてのデータベース オブジェクトのスクリプトを作成」を選択して、[次へ]ボタンをクリックします。
4.次の[スクリプト作成オプションの設定]ページでは、「詳細設定」ボタンをクリックします。
5.これにより、次のように[スクリプト作成の詳細オプション]ダイアログが表示されます。
このダイアログでは、[データベース エンジンの種類に対応したスクリプト]で「Azure SQL Database」を選択することで、Azure SQL Database 上で実行可能なスクリプトを生成できるようになります。また、[スクリプトを作成するデータの種類]では「スキーマとデータ」を選択することで、データを追加するための INSERT ステートメントを生成できるようになります。
その他、[スクリプトの照合順序]で「True」、[オブジェクト レベル権限のスクリプトを作成]で「True」、[トリガーのスクリプトを作成]で「True」を選択しておくようにします。[スクリプトの照合順序]を「True」へ変更することで照合順序(COLLATE 句)のスクリプト化、[オブジェクト レベル権限のスクリプトを作成]を「True」へ変更することでオブジェクト権限(GRANT/REVOKE/DENY)とデータベース ユーザー(CREATE USER)のスクリプト化、[トリガーのスクリプトを作成]を「True」へ変更することでトリガーをスクリプト化(CREATE TRIGGER)することができるようになります。
設定後、[OK]ボタンをクリックします。
6.[スクリプト作成オプションの設定]ページへ戻ったら、「新しいクエリ ウィンドウに保存」を選択して、[次へ]ボタンをクリックします。
これで生成されたスクリプトを新しいクエリ エディター上へ表示することができます。
7.次の[概要]ページでは、設定内容を確認して[次へ]ボタンをクリックします。
これでスクリプトの生成が実行されます。
8.スクリプトの生成中は、次のページが表示されます。
次のように、すべての[結果]が「成功」と表示されれば、スクリプト生成が成功です。
データベース内の各オブジェクト(テーブルやビュー、ストアド プロシージャ、トリガー)ごとに結果が表示され、すべての[結果]が「成功」と表示されれば、スクリプト生成が成功です。最後に[完了]ボタンをクリックして、ウィザードを終了します。
9.終了後、クエリ エディター上にスクリプトが生成されていることを確認できます。
このようにスクリプト生成ウィザードを利用すれば、テーブルを作成するための CREATE TABLE ステートメントだけでなく、INSERT ステートメントやビュー(CREATE VIEW)、ストアド プロシージャ(CREATE PROCEDER)、トリガー(CREATE TRIGGER)、データベース ユーザー(CREATE USER)などもスクリプト化してくれるので大変便利です。
また、次のようにオブジェクト権限(GRANT/REVOKE/DENY)の設定もスクリプト生成してくれています。
生成されたスクリプトは、このまま残しておいてください(クエリ エディター ウィンドウを閉じないでください)。
1.ログイン アカウントを作成するには、Management Studio(または SSDT)を新しく起動して、Azure SQL Database の SQL サーバーに接続します。
2.次に、オブジェクト エクスプローラーで master データベースを右クリックして、[新しいクエリ]をクリックし、master データベースに接続します(クエリ エディターを表示します)。
3.クエリ エディターが表示されたら、次のように CREATE LOGIN ステートメントを実行して、ログイン アカウントを作成します。
1.次に、スクリプト生成ウィザードによって生成されたスクリプトを Azure SQL Database に対して実行しますが、スクリプトが記述されたクエリ エディターへ戻って、次のように[クエリ]メニューの[接続]から「接続の変更」をクリックします(これで接続先を変更することができます)。
2.[データベース エンジンへの接続]ダイアログが表示されたら、[サーバー名]に移行先となる Azure SQL Database のSQL サーバー名、[認証]で「SQL Server 認証」を選択、[ログイン]と[パスワード]にに管理者アカウントの名前とパスワードを入力して、[オプション]ボタンをクリックします。
[接続オプション]タブでは、[データベースへの接続]に、移行先となるデータベース名を指定します(画面は AzureDB を利用)。
3.接続後、次のようにツールバーの「!実行」ボタンをクリックして、スクリプトをすべて実行します。
実行後、次のように[クエリは正常に実行されました]と表示されれば、データベースの移行が完了です(なお、データベースのエディションが Basic の場合には、このスクリプトの実行に 10分ぐらいの時間がかかるので、少し待っていてください。上位エディションを利用している場合には、実行時間を短縮することができます)。
スクリプトの実行が完了した後は、データベースが正しく移行されているかどうかを確認しておきましょう。
1.まずは、次のように記述して、「商品」テーブルのデータが移行できていることを確認してみます。
2.次に、オブジェクト エクスプローラーを展開して、トリガーやビュー、ストアド プロシージャなどが移行できていることも確認します。
3.次に、データベース ユーザーへ設定したオブジェクト権限が移行できていることを確認するために、次のように database_permissions ビューを参照します。
sqllogin1 データベース ユーザーに対して設定された権限(n_view1 に対する SELECT 権限と n_proc1 に対する EXEC 権限)も正しく移行できていることを確認できます。
このように、スクリプト生成ウィザードを利用すれば、既存の SQL Server 環境のデータベースを簡単に Azure SQL Database 上に移行することができます。テーブルやデータだけでなく、制約やビュー、ストアド プロシージャ、トリガー、データベース ユーザー、オブジェクト権限、インデックスなどもそのまま移行することができます。
スクリプト生成ウィザードは、データ量が少ない場合(数千件レベルの場合)にお勧めの移行方法です。データ量が多い場合(データベース サイズが数GBレベルになる場合)には DAC Fx(.bacpac)、データ量がそれほど多くない場合(数万件レベルの場合)で、かつ特定のテーブル データのみを移行したい場合には、SSIS ウィザードがお勧めの移行方法になります。
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