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SQL Server 2014 自習書シリーズ (HTML 版)
「No.5 Microsoft Azure SQL Database 入門」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 自習書シリーズの「No.5 Microsoft Azure SQL Database 入門」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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2.16 Azure SQL Database でのロックの動作(読み取り一貫性)

(2015年1月時点での情報)

Azure SQL Database では、「READ_COMMITED_SNAPSHOT」および「SNAPSHOT ISOLATION」(スナップショット分離レベル)が有効化されています(SQL Server の場合は、既定では有効化されていません)。これは、次のように databases システム ビューを参照することで確認できます。

00140

READ_COMMITED_SNAPSHOT」は、SELECT ステートメントを発行した時点でのデータが読み取れることを保証する機能(Oracle データベースでのデフォルトの動作と同じ)、「SNAPSHOT ISOLATION」(スナップショット分離レベル)は、トランザクションを開始した時点でのデータが読み取れることを保証する機能です。

◆ READ_COMMITED_SNAPSHOT での動作

READ_COMMITED_SNAPSHOT が有効な場合は、次の図のように、排他ロックのかかっている更新中のデータ(未コミットのまだ確定していないデータ)は参照させないようにし、更新前のデータ(その時点での正しいデータ)を参照させることで一貫性を保ちます。
00141

なお、更新前のデータは、内部的には tempdb データベース内へ格納されています。このように、Azure SQL Database では、排他ロックにブロックされないデータの読み取りが可能になっています。

この状況は、次のように確認することができます。

00142

1つ目の接続(左側)で「a=2」のデータを排他ロックして、そのときに 2つ目の接続(右側)から排他ロックのかかっているデータを参照します。ロック待ちは発生せずに(排他ロックにはブロックされずに)、「999」というデータを参照できていることを確認できます。この「999」は、更新前のデータ(現時点での正しいデータ)になります。

◆ スナップショット分離レベル(SNAPSHOT ISOLATION LEVEL)

Azure SQL Database では、スナップショット分離レベルも有効化されています。これは、トランザクションを開始した時点でのデータが読み取れることを保証する機能です。READ_COMMITTED_SNAPSHOT との違いは、次の図のとおりです(④の動作が違いです)。
00143
READ_COMMITTED_SNAPSHOT がステートメント レベル(文レベル)での読み取り一貫性であったのに対して、スナップショット分離レベルは、トランザクション レベルでの読み取り一貫性を提供します。

READ_COMMITTED_SNAPSHOT は、SELECT ステートメントを発行した時点での確定(コミット)されたデータを読み取り、スナップショット分離レベルは、トランザクション開始時点での確定済みデータを読み取ります。トランザクションの途中でコミットされて確定したとしても、トランザクションの開始時点で確定されていないデータは更新前の値を返し、開始時点での正しいデータを一貫して返します。したがって、スナップショット分離レベルは、会計処理のように、トランザクションが長くなり、かつその間にほかのトランザクションからの影響を受けたくないような場合に役立つ機能です。

この状況は、次のように確認することができます。

00144

2つ目の接続(右側)では、トランザクション中は、一貫して「999」という値が返り、トランザクションを開始した時点での正しいデータを取得できていることを確認できます。

このように、スナップショット分離レベルでは、トランザクション レベルでの読み取り一貫性を実現することができます。

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