松本美穂と松本崇博が執筆した完全オリジナル SQL Server 2012 自習書シリーズの「No.12 Analysis Services によるインメモリ BI 入門」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2013年12月29日]
メジャーは、DAX(Data Analysis Expressions)式を利用して作成することもできます。これを利用すれば、既存のメジャーをもとに計算を行ったり、関数処理を行ったりして、構成比率や前年金額などを取得することができるようになります。
それでは、これを試してみましょう。
1.DAX 式を利用したメジャーを作成するには、次のように任意の空のメジャー グリッド(メジャー領域内のセル)をクリックして、[fx](式)ボックスで任意の DAX 式を入力します。
2.まずは、次のように単純な式を入力して、動作を確認してみましょう。
DAX 式では、テーブル名を '(単一引用符)で囲んで指定し、メジャーを [ ] で囲むことで、ほかのメジャーを参照することができます。上の式では、前の Step で作成した「受注金額計」(合計を取得するためのメジャー)を取得し、これに対して 1000 で割り算をしています。
式には、自動的に「メジャー 1:=」が追加されて、メジャーの名前が「メジャー 1」へ設定されています。この文字列を[fx](式)ボックスで変更すれば、メジャーの名前を変更することができます。
3.ツールバーの[Excel で分析]ボタンをクリックして、Excel のピボット テーブルを起動し、[Σ 値]へ「受注金額計」と「メジャー 1」を配置し、[行ラベル]へ「商品区分」テーブルの「区分名」を配置します。
「メジャー 1」は、受注金額計に対して 1000 で割り算した結果になっていることを確認できます。このように、DAX 式を利用したメジャーを作成すると、既存のメジャーをもとに計算を行ったり、関数処理を行ったりできるようになります。
次に、各商品区分の構成比率(各商品の受注金額が全体の何%なのか)を計算してみましょう。
1.構成比率は、各商品区分の受注金額を「全体合計」で割り算すれば良いので、「メジャー 1」の式を次のように変更します。
CALCULATE という関数では、第2引数に「ALL('商品区分'[区分名])」と指定することで、全体合計(商品区分全部の合計)を計算することができます。
2.次に、式の「メジャー 1:=」を「構成比率:=」へ変更して、メジャーの名前を「構成比率」へ変更します。
3.次に、作成した「構成比率」を選択して、[プロパティ]ウィンドウを開き、[形式]で[パーセンテージ]を選択します。
これで、「構成比率」の書式をパーセンテージ形式(0.1234 というデータなら 12.34%形式)へ設定することができます。
4.次に、Excel 側へ戻って、ピボット テーブルを選択し、[オプション]タブの[更新]ボタンをクリックして、最新の情報に更新します。
作成した「構成比率」メジャーを[Σ 値]へ配置すると、「構成比率」(各商品の受注金額が全体の何%なのか)が正しく計算できていることを確認できます。
次に、前年金額を計算してみましょう。
1.任意の空のメジャー グリッドをクリックして、[fx](式)ボックスへ次のように入力します。
CALCULATE 関数では、第2引数に「PREVIOUSYEAR」関数を指定することで、前年のデータを取得することができます。
「PREVIOUSYEAR」関数は、次のように「DATEADD」関数を利用しても同じ結果(1年前のデータ)を取得することができます。
2.次に、式の「メジャー 1:=」を「前年金額:=」へ変更して、メジャーの名前を「前年金額」へ変更します。
3.次に、作成した「前年金額」を選択して、[プロパティ]ウィンドウを開き、[形式]で[通貨]を選択します。
4.設定後、Excel 側へ戻って、ピボット テーブルを選択し、[オプション]タブの[更新]ボタンをクリックして、最新の情報に更新します。
5.次に、ピボット テーブルの[Σ 値]へ「受注金額計」と「前年金額」、[行ラベル]へ「区分名」、「列ラベル」へ「年」を配置します。
「前年金額」が正しく計算できていることを確認できます。
このように、DAX(Data Analysis Expressions)式を利用することで、既存のメジャーをもとに計算を行ったり、関数処理を行ったりできるようになります。
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