Microsoft SQL Server 2016 実践シリーズ （HTML 版）
「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」

5.9　互換性レベルを 130 へ上げる（オプション）

移行元の SQL Server上で取得したデータベースのバックアップの互換性レベルは、SQL Server 2016 に復元した後もその互換性レベルがキープされます。例えば、SQL Server 2008／2008 R2 で取得したバックアップを復元すると 100、SQL Server 2012 の場合は 110、SQL Server 2014 の場合は 120 といった具合です。

ただし、移行元のデータベースで互換性レベル 90（SQL Server 2005レベル）以下を利用している場合は、SQL Server 2016 に復元した後に、自動的に 100（SQL Server 2008／2008 R2 レベル）に変更されます。

データベースの互換性レベルを確認／変更するには、次のようにユーザー データベースの［プロパティ］を開いて、［オプション］ページを表示します。

SQL Server 2016 では、互換性レベル 100 以降がサポートされています。

◆ SQL Server 2016 で利用できるデータベースの互換性レベル

SQL Server 2016 で利用できるデータベースの互換性レベルは、次の 4つです。

• 100（SQL Server 2008／2008 R2 レベル）
• 110（SQL Server 2012 レベル）
• 120（SQL Server 2014 レベル）
• 130（SQL Server 2016 レベル）

互換性レベルは、100 や 110、120 のまま利用しても問題はありませんが、より良い性能を考慮するのであれば、130（SQL Server 2016 レベル）に上げておくことがお勧めになります。130 に変更すれば、SQL Server 2016 からの新機能である「INSERT .. SELECT の並列処理」や「列ストア インデックスでのバッチ モードの性能向上」、「インメモリ OLTP での並列処理」などを利用することができるからです。

互換性レベルを変更したことによる性能調査（実行プランの比較）には、SQL Server 2016 から提供された「クエリ ストア」（Query Store）機能を利用するのがお勧めです。クエリ ストアは、Store（蓄積）という名のとおり、クエリの実行履歴／実行プランを保存できる機能で、次のように同じクエリに対して複数の実行プランが利用される場合を簡単に識別することができます。

これを利用すれば、互換性レベルを変更する前後で、同じ実行プランが利用されたかどうかを簡単に確認することができるようになります。クエリ ストアの利用方法については、第3章の 3.13 で説明しているので、こちらもぜひご覧いただければと思います。