Microsoft SQL Server 2016 実践シリーズ （HTML 版）
「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」

4.6　ジョブの所有者が Windows のローカル ユーザーの場合

旧マスターでのジョブの所有者が Windows のローカル ユーザー（マシン名\ユーザー名 形式のユーザー）の場合には、ジョブの実行エラーとなります（スケジュール設定しているジョブは、そのタイミングでエラーになります）。これは、次のような状況です（画面は SQL Server 2008）。

ジョブの実行履歴に記録されるエラーには、「所有者（～）にサーバーのアクセス権があるかどうかを確認できません」となります。これは、ジョブの所有者が、次のように owner_sid（所有者の Security ID）で管理されているために発生しています。

前述したように、Windows のローカル ユーザーは、マシン（OS）が変わったとすると、同じ名前のユーザーを作成したとしても、内部的な SID（Security ID）が異なってしまうので、こういったことが起こります。

◆ ジョブの所有者を設定すれば解決

ジョブを正しく動作させるようにするには、次のように新しい所有者を設定します。

このように、新しい所有者が設定されていれば、ジョブが正しく実行できるようになります。

ジョブは、さまざまな機能でスケジューリング（定期実行）するために利用されているので、うまく動作しないジョブは、所有者を確認してみてください。

データベースの所有者のところで説明したのと同様、ジョブの所有者が Windows のローカル ユーザーとなってしまうのは、Management Studio を利用するときに、Windows のローカル ユーザーでログインして操作している場合です。Windows のローカル ユーザーでログインした状態でジョブを作成すると、ジョブの所有者がそのユーザーになってしまいます。

したがって、こうしたハードウェア リプレースなどでのデータベース移動を考慮すると、SQL Server を操作するときには（Management Studio を利用するときには）、Active Directory のドメイン ユーザーを利用するようにすることをお勧めします。