Microsoft SQL Server 2016 実践シリーズ （HTML 版）
「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」

4.4　新規サーバーの OS の設定を再設定する

新規サーバー（新マスター）では、OS の設定についても、旧マスターで設定を変更しているものがある場合は、それらを再設定する必要があります。

OS の設定には、次のようなものがあります。

1. 旧マスターで利用しているドライブを、新規サーバーにも作成する

例えば、tempdb データベースに関しては、旧マスター側で移動している場合には、新規サーバー側にも同じドライブおよびフォルダー構成がないと、SQL Server サービスの起動に失敗してしまいます。tempdb は SQL Server サービスの起動時に再作成されるものなので、作成先が見つからない場合には、SQL Server サービスの起動に失敗してしまいます。

なお、ユーザー データベースに関しては、前述したように、データベースのアタッチ操作をすることで、異なるドライブであったとしても、データベースを認識させることができます。

2. 旧マスターで作成しているフォルダーを、新規サーバーにも作成する

例えば、パフォーマンス データ コレクションでは、キャッシュ フォルダーを設定するので、キャッシュ フォルダーを作成しておかないとエラーになります。

また、SQL Server Audit で監査ログをフォルダー／ファイルへ記録している場合は、そのフォルダーが必要になります。

3. 旧マスターで、OS のファイルとして実装していたものを、新規サーバー上にも作成する

例えば、SSIS パッケージ（.dtsx）を、SQL Server（msdb）内に保存する形ではなく、ファイルとして OS 上に保存している場合は、同じファイルが新規サーバー上にも必要になります（SQL Server 内に保存したものは、msdb データベースをオフライン バックアップから復元することで、復元することができます）。

また、SSIS パッケージや bcp、BULK INSERT などで取り込むファイルがある場合には、それらが新規サーバー上でも同じフォルダー内に存在している必要があります。

4. 旧マスターで NTFS アクセス許可を設定している場合は、新規サーバーでも設定する

前述したように、サービス アカウントに対する NTFS アクセス許可がない場合には、データベースを認識することができないので、NTFS アクセス許可を設定しておく必要があります。

その他、バックアップ先となるフォルダーや、SSIS パッケージ／bcp／BULK INSERTなどでファイルをインポートしている場合には、それらに対する NTFS アクセス許可が必要になります。

5. 旧マスターで共有フォルダーを作成している場合は、新規サーバーにも作成する

例えば、バックアップやログ配布などで、共有フォルダーを利用している場合には、新規サーバーにも同じように作成するようにします。

6. 旧マスターでユーザーの権利を変更している場合には、新規サーバーでも変更する

例えば、次のように、瞬時初期化に必要となる「ボリュームの保守タスクを実行」権利をサービス アカウントに設定していたり、「メモリ内のページのロック」権利を設定している場合には、新規サーバーでも同じように設定するようにします。

ユーザーの権利は、［管理ツール］メニューの［ローカル セキュリティ ポリシー］ツールから変更することができます。

以上で、ハードウェア リプレース時の完全複製作業（旧マスター環境を新規サーバーへ丸ごと複製）が完了です。このように、システム データベースのオフライン バックアップを利用すれば、後はレジストリと OS の設定を再設定するだけで、非常に簡単にハードウェア リプレース／同じ名前の新規サーバーの構築を行うことができます。