松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
サーバー ロール(sysadmin や securityadmin、serveradmin など)は、ログイン アカウントをグループ化するための機能なので、この設定も master データベース(システム データベース)内に格納されています(以下の画面は SQL Server 2005)。
したがって、サーバー ロールの設定は、移行先で再設定をする必要があります。
サーバー ロールの設定は、SQL Server 2005/2008/2008 R2 の標準のスクリプト生成機能だと、SQL Server 認証用のログイン アカウントしかスクリプトを生成することができません(Windows 認証用のログイン アカウントに関してはスクリプト生成ができません)。これは、次のような状況です(画面は SQL Server 2005 ですが、他のバージョンでも同様の操作です)。
Management Studio の[表示]メニューから[概要]をクリックして概要ページを表示し(SQL Server 2008/2008 R2 の場合は[オブジェクト エクスプローラーの詳細]をクリック)、[ログイン]フォルダーで複数のログイン アカウントを Ctrl キーを押しながら選択して、右クリックし、[名前を付けてスクリプト化]からスクリプト生成を行っています。
これで、ログイン アカウントを作成する CREATE LOGIN ステートメントとともに、サーバー ロールを設定するための sp_addsrvrolemember(サーバー ロールへメンバーを追加するためのシステム ストアド プロシージャ)が生成されるのですが、次のように SQL Server 認証用のログイン アカウントに対してはうまく生成されるのですが、Windows 認証用のログイン アカウントに関しては生成させることができません。
Windows 認証用のログイン アカウントに対しても、サーバー ロールの設定をスクリプト化するには、次の 2つの方法があります。
1つ目の方法は、サーバー ロールとログイン アカウントの対応を確認することができる「server_role_members」システム ビューを利用する方法です。このビューでは、次のようにサーバー ロールとログイン アカウントの対応を確認できます。
この ID(principal_id)は、server_principals システム ビューと JOIN することで、サーバー ロールの名前やログイン アカウントの名前を取得することができるので、次のようにサーバー ロールを設定するためのスクリプトを生成することができます。
この生成された sp_addsrvrolemember システム ストアド プロシージャを、移行先(SQL Server 2014 上)で実行すれば、サーバー ロールの設定を移行することができます。なお、上記の画面は、SQL Server 2005 の場合ですが、SQL Server 2005 が利用している内部ユーザー(SQLServer2005MSSQLUser~や SQLServer2005SQLAgetUser~ ログイン アカウント)、SQL Server 2005 のインストール時に自動追加されるシステム アカウント(NT AUTHORITY\SYSTEM)、BUILTIN\Administrators グループなどを sysadmin サーバー ロールへ追加するものが含まれてしまっているので、これらは SQL Server 2014 上では実行する必要はありません(sysadmin サーバー ロールへ追加する必要はありません)。
SQL Server 2014 の Management Studio を利用する方法
サーバー ロールの設定をスクリプト化する 2つ目の方法は、SQL Server 2014 の Management Studio をインストールしたマシンから、移行元の SQL Server へリモート接続をして、スクリプトを生成します。SQL Server 2014(または SQL Server 2012)の Management Studio を利用すれば、Windows 認証用のログイン アカウントに関しても、サーバー ロールの設定をスクリプト化することができます。
これを行うには、SQL Server 2014 の Management Studio で[表示]メニューから[オブジェクト エクスプローラーの詳細]をクリックして詳細ページを表示し、次のように[ログイン]フォルダーで複数のログイン アカウントを Ctrl キーを押しながら選択して、右クリックし、[ログインをスクリプト化]から、スクリプト生成を行います。
これで、ログイン アカウントを作成する CREATE LOGIN ステートメントとともに、サーバー ロールを設定するための ALTER SERVER ROLE ステートメントが生成されます(SQL Server 2012 以降では、sp_addsrvrolemember の代わりにこのステートメントでサーバー ロールへのメンバーの追加ができるようになりました)。
生成された ALTER SERVER ROLE ステートメントを、移行先(SQL Server 2014 上)で実行すれば、サーバー ロールの設定を移行することができます。
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