松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
SQL Server 2014 へのアップグレードを行うにあたっては、SQL Server 2014 へのアップグレード要件(アップグレード パスとインストール要件)を把握しておく必要があります。
第1章で説明したように、SQL Server 2014 は、以下のバージョンの SQL Server からのアップグレードを行うことができます。
SQL Server 2005 の場合は SP4(Service Pack 4)以降を適用しておく必要がありますが、SQL Server 2014 へのアップグレードがサポートされています。アップグレード後は、ユーザー データベースの互換性レベルが 100(SQL Server 2008 レベル)に自動的に上がりますが、互換性レベルについては後述します。
SQL Server 2008 は SP3、SQL Server 2008 R2 は SP2、SQL Server 2012 は SP1 以降を適用しておく必要があります。
クロス プラットフォーム(32ビットから 64ビットへの変更)に関しては、アップグレードがサポートされていないので、データベースの移行(マイグレーション)を利用する必要があります。移行方法については、次の章で詳しく説明しますが、移行であれば、32ビットも 64ビットも関係なく行うことができます。
SQL Server 2014 をインストール(またはアップグレード)するには、以下の OS を利用する必要があります。
SQL Server 2014 は、Windows Server 2003/2003 R2 にはインストールすることができない点に注意する必要があります。したがって、既存の環境で Windows Server 2003/2003 R2 を利用している場合には、OS を Windows Server 2008 SP2 以降にアップグレードしてから、SQL Server 2014 へのアップグレードを行う必要があります。
既存の環境が SQL Server 2005 の場合には、SQL Server 2005 がWindows Server 2012/2012 R2 にはインストールすることができないことにも注意する必要があります。したがって、SQL Server 2005+Windows Server 2003/2003 R2 の環境を SQL Server 2014 へアップグレードしたい場合には、次のように OS を Windows Server 2008/2008 R2 へアップグレードしてから、SQL Server 2014 へのアップグレードを行う必要があります。
このように、Windows Server 2003/2003 R2 上の SQL Server 2005 を、Windows Server 2012/2012 R2 上の SQL Server 2014 へアップグレードするには、3段階のアップグレードが必要になります(Windows Server 2008/2008 R2 上で動作させる場合には、2段階のアップグレードで済みます)。
SQL Server 2014 をインストール(およびアップグレード)するためのソフトウェア要件は、次のとおりです。
SQL Server 2014 では、.NET Framework 3.5 SP1 に加えて、.NET Framework SP1 の更新プログラムも必須コンポーネントになりますが、この更新プログラムのダウンロードおよびインストールをする必要があるのは、OS に Windows Server 2008(R2 ではない 2008)を利用している場合のみになります(詳しくは後述します)。
.NET Framework 4/4.5 や、PowerShell 2.0 についても後述しますが、.NET Framework 4 は自動的にインストールされ、PowerShell 2.0 をダウンロードおよびインストールする必要があるのは、OS に Windows Server 2008 を利用している場合のみになります。
SQL Server 2014 では .NET Framework 3.5 SP1 と .NET Framework 3.5 SP1 の更新プログラムが必須コンポーネントになっています。これは、次の表ように SQL Server 2012 のインストール要件と同じものになりますが、SQL Server 2008 R2 以前のバージョンで、Windows Server 2008(R2 ではない 2008)を利用している場合は、更新プログラムがインストールされていない状態になることに注意する必要があります。
SQL Server 2008/2008 R2 でも、Windows Server 2008 R2 上で動作させる場合は、サーバー マネージャーの[機能の追加]で「.NET Framework 3.5.1」、Windows Server 2012/2012 R2 で動作させる場合は、[役割と機能の追加]で「.NET Framework 3.5」を追加することになりますが(SQL Server 2008の場合はインストール前に手動で追加、SQL Server 2008 R2 の場合はインストール時に自動追加されます)、この場合は .NET Framework 3.5 SP1 の更新プログラムが含まれているので、SQL Server 2014 のインストール要件も満たしていることになります。
したがって、SQL Server 2005 を利用している場合と、SQL Server 2008/2008 R2 を Windows Server 2008(R2 ではない 2008)上で動作させている場合にのみ、追加作業(機能の追加やインストール)が必要になります。以降では、それぞれでの作業方法を説明します。
SQL Server 2005+Windows Server 2008 R2 の場合
.NET Framework 3.5 SP1+更新プログラムは、OS に Windows Server 2008 R2 を利用する場合は、次のようにサーバー マネージャーの[機能の追加]ウィザードから[.NET Framework 3.5.1]を選択することで、インストールすることができます。
この[.NET Framework 3.5.1]には、.NET Framework 3.5 SP1 と .NET Framework 3.5 SP1 の更新プログラムが含まれているので、作業はこれだけで完了です。
SQL Server 2005+Windows Server 2008 の場合
OS に、Windows Server 2008(R2 ではない 2008)を利用する場合には、次の URL から .NET Framework 3.5 SP1 をダウンロードして、インストールしておく必要があります。
.NET Framework 3.5 SP1 のダウンロード URL
http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=22
.NET Framework 3.5 SP1 のインストール
この .NET Framework 3.5 SP1 には、.NET Framework 3.5 SP1 の更新プログラムが含まれていないので、次の URL から更新プログラムをダウンロードして、こちらもインストールしておく必要があります。
.NET Framework 3.5 SP1 更新プログラムのダウンロード URL
http://www.microsoft.com/ja-JP/download/details.aspx?id=18136
SQL Server 2008/2008 R2+Windows Server 2008 の場合
SQL Server 2008/2008 R2 を Windows Server 2008 で動作させている場合には、.NET Framework 3.5 SP1 に関しては SQL Server 2008/2008 R2 のインストール時に、次のようにインストールが促されています。
しかし、これには .NET Framework 3.5 SP1 の更新プログラムが含まれていないので、前述の URL から更新プログラムをダウンロードして、インストールしておく必要があります。
SQL Server 2008/2008 R2+Windows Server 2012/2012 R2 の場合
SQL Server 2008/2008 R2 を Windows Server 2012/2012 R2 で動作させている場合には、SQL Server 2008/2008 R2 のインストール時に、次のように .NET Framework 3.5 SP1 のインストールが促されています。
これによって、次のようにサーバー マネージャーの[役割と機能の追加]ウィザードから[.NET Framework 3.5]を追加しています。
この[.NET Framework 3.5]には、.NET Framework 3.5 SP1 と .NET Framework 3.5 SP1 の更新プログラムが含まれているので、追加の作業は必要ありません。
SQL Server 2014 では、.NET Framework 4 も必須コンポートになっていますが、OS に Windows Server 2008/2008 R2 を利用する場合には、SQL Server 2014 へのアップグレード時に自動的にインストールされるので、事前にインストールしておく必要はありません(SQL Server 2014 のインストール メディアに .NET Framework 4 が含まれていて、そこから自動インストールされます)。自動インストールされることは、インストール時の[機能の選択]ページで、次のように確認することができます。
.NET Framework 4 を事前インストールしたい場合(Windows Server 2008/2008 R2)
もし、.NET Framework 4 を事前にインストールしておきたい場合は、SQL Server 2014 のインストール メディアにあるインストーラー(dotNetFx40_Full_x86_x64.exe)を利用して、次のようにインストールしておくこともできます。
Windows Server 2012/2012 R2 の場合(自動インストールされている)
OS に、Windows Server 2012/2012 R2 を利用する場合には、OS のインストール時に、自動的に .NET Framework 4.5 がインストールされているので、こちらもインストールは不要です。.NET Framework 4.5 がインストールされているかどうかは、次のようにサーバー マネージャーの[役割と機能の追加]ウィザードで確認することができます。
SQL Server 2014 では、PowerShell 2.0 以降(PowerShell 3.0/4.0 でも可)も必須コンポートになっていますが、Windows Server 2008 R2 の場合には PowerShell 2.0、Windows Server 2012 の場合には PowerShell 3.0、Windows Server 2012 R2 の場合には PowerShell 4.0 が、OS のインストール時に自動的にインストールされているので、インストールの必要はありません。
インストールが必要になるのは、Windows Server 2008(R2 ではない 2008)を利用している場合のみで、次の URL から .PowerShell 2.0 をダウンロードすることができます。
PowerShell 2.0 x86 版(32ビット版)のダウンロード URL
http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=11829
PowerShell 2.0 x64 版のダウンロード URL
http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=20430
PowerShell のバージョンを確認する方法 ~$PSVersionTable~
OS に、Windows Server 2008 R2 を利用する場合には、OS のインストール時に、自動的に .PowerShell 2.0 がインストールされていますが、インストールされている PowerShell のバージョンを確認したい場合には、次のように[スタート]メニューの[アクセサリ]から[Windows PowerShell]を起動して、「$PSVersionTable」と入力します。
OS に、Windows Server 2012 を利用する場合には PowerShell 3.0、Windows Server 2012 R2 を利用する場合には PowerShell 4.0 が、OS のインストール時に自動的にインストールされていますが、これを確認するには、次のようにサーバー マネージャーの[役割と機能の追加]ウィザードを利用します。
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