松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
bwin 社が実装したような ASP.NET のセッション状態データベースのインメモリ化は、NuGet(.NET 用のパッケージ マネージャー)から取得できる「Microsoft ASP.NET Session State provider for SQL Sever In-Memory 1.0.1」を利用すると、簡単に実装することができます。
http://www.nuget.org/packages/Microsoft.Web.SessionState.SqlInMemory/
このプロバイダーを利用する手順は、次のとおりです。
まず、Visual Studio で、「ASP.NET Web アプリケーション」プロジェクトを作成します。
次に、[ツール]メニューから[ライブラリ パッケージ マネージャー]の[パッケージ マネージャー コンソール]をクリックします。
パッケージ マネージャー コンソールが開いたら、次のように入力します。
これでインストールが完了です。インストール完了後は、ソリューション エクスプローラーに「ASPStateInMemory..sql」ファイルが追加されているので、これを開きます。
次に、「ASPStateInMemory..sql」ファイルの内容を、SQL Server 2014 の Management Studio のクエリ エディターへ丸ごと貼り付けて、実行します。
CREATE DATABASE では、「ASPStateInMemory」という名前のデータベースを作成しますが、既定では D:\SQL\data フォルダーにデータベースを作成するようになっているので、任意の場所へ変更します。
スクリプトでは、2つのテーブル(Sessions と SessionItems)が作成されますが、Sessions は 7000バイト未満のセッション変数を格納するためのテーブル(varbinary(7000) に設定された Item 列に値を格納)、SessionItems は 7000バイト以上(BLOB)のセッション変数があった場合に、これを分割して格納するためのテーブルです。どちらのテーブルも、既定では BUCKET_COUNT が 100万、DURABILITY が SCHEMA_ONLY に設定されています。BUCKET_COUNT は、同時接続数が多い環境では、さらに大きい値へ変更しておくようにします(Session 変数は、既定では 20分間保持されるので、20分間にアクセスされる同時接続数をもとに BUCKET_COUNT を調整します)。
スクリプトでは、いくつかのネイティブ コンパイル SP が作成されますが、主な役割は、次のとおりです。
最後に、Visual Studio のソリューション エクスプローラーで「Web.config」ファイルを開いて、connectionString を変更すれば、設定が完了です。
これで、ASP.NET のセッション状態データベースのインメモリ化が完了です。
このプロバイダーの動作について、次のような ASP.NET Web フォームでセッション変数を格納した場合を例に説明します。
この Web フォームへアクセスしたときを SQL Server Profiler ツールでキャプチャすると、次のように InsertOrUpdateStateItem ネイティブ コンパイル SP が実行されていることが分かります。
このネイティブ コンパイル SP では、7000バイト未満のデータであれば、Sessions テーブルへ値を格納するようになっています(Item 列に値が格納されます)。
次に、セッション変数の値を取得する場合を見てみます(別の Web フォームから取得)。
このようにセッション変数の値を取得した場合を SQL Server Profiler ツールでキャプチャすると、次のようになります。
セッション変数の取得時は、GetStateItemExclusive ネイティブ コンパイル SP が実行されていることが分かります。
以上のように、Microsoft ASP.NET Session State provider for SQL Sever In-Memory 1.0.1 を利用すると、セッション状態データベースを簡単にインメモリ化することができます。
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