松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
前項では、char/varchar データ型を利用する場合の注意点を説明しましたが、再度まとめると、次のようになります。
今回の負荷テストでは、列のデータ型に char/varchar を利用した場合と、nchar/nvarchar を利用した場合の性能差を体感することはできませんでしたが、char/varchar データ型を利用することで、メモリ使用量を削減することができることが、非常に大きなメリットです。
メモリ最適化テーブルが使用しているメモリの量は、dm_db_xtp_table_memory_stats」動的管理ビューを利用して確認することができます。
また、データベースを右クリックして、[レポート]メニューの[標準レポート]から[メモリ最適化オブジェクトによるメモリ使用量]レポートを利用しても、メモリ使用量を確認することができます。
nchar/nvarchar(n付き)のデータ型では、Unicode でデータを格納するので、英数字データ(A、B、C や 1、2、3 など)を格納する場合にも 2バイトを消費します。これに対して、char/varchar を利用する場合は、英数字データは、1バイトしか消費しません。
例えば、今回のポイントカード システムの「カードID」列には、数値データ(1111 2222 3333 4444 形式の 16桁)しか格納されませんが、nchar(16) を利用しています。これでは、16桁の数値を格納するために、32バイトが必要になります。一方、char(16) にすれば、16バイトで済みます。これを次のように確認してみましょう。
顧客マスターの「カードID」と「カード種別」、「col7」を nchar/nvarchar で作成して、1万件のデータを格納したときのメモリ使用量を確認しています。
次に、char/varchar で作成して、1万件のデータを格納したときのメモリ使用量も確認してみます。
結果のうち「memory_used_by_table_kb」が実際にデータが使用しているサイズ(KB単位)で、nchar のときは 1,093KB、char のときは 937KB で、差は 156KBになりました。
このテーブルに対して、実際の 10万件のデータを入れた場合は、次のような差になります。
10万件の場合は、1万件のときのちょうど 10倍の差 1,562KB になりました。
このようなメモリ使用量の差は、次のように、おおよその値を計算で求めることができます。
char は、格納文字数分を消費するのに対して、nchar では 2倍の消費量として計算すれば、どれだけの差がでるのかを推測することができます。「カードID」と「カード種別」、「col7」は、19文字分を格納するので、19バイト分の差が出て、データ件数が 1万件なら 1万*19バイト=185KB の差が出るのではないかと推測できます(実際は 156KB の差でした)。
これが、100万件のデータ量なら 18.5MB、1,000万件なら 185MB もの差になるので、メモリ使用量を削減するという目的としては、char/varchar を利用することは、非常に重要になります。
今回のシステムでは、char/varchar を利用しませんでしたが、メモリ使用量を抑えたい場合には、非常に有用なオプションになるので、お勧めです。
なお、メモリ使用量の見積もり方法については、オンライン ブックの以下のトピックが参考になります。
メモリ最適化テーブルのテーブルと行のサイズ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dn205318.aspx
メモリ最適化テーブルのメモリ必要量の推定
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dn282389.aspx
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