松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
商品データのデータ サービスを提供している、米 Edgenet 社では、DWH(データ ウェアハウス)環境での「ステージング テーブル」へインメモリ OLTP 機能を採用することで、各種のバッチ処理で 8倍~11倍の性能向上を実現しています。
ETL(データの抽出/変換/ロード)処理においては、1,000万件のデータを処理する際に、従来のシステムでは 2時間 40分もかかっていたところを、インメモリ OLTP 機能を採用することで、わずか 20分で処理が完了するようになっています(以下)。
詳細については、米マイクロソフトの事例サイト(Case Studies)に記載されています。
また、bwin 社と同様、Microsoft TechEd North America 2014 でのセッション DBI-B313 でも詳細が説明されていたので、ここではその内容を要約します。
Microsoft SQL Server 2014: In-Memory OLTP Customer Deployments and Lessons Learned
http://channel9.msdn.com/Events/TechEd/NorthAmerica/2014/DBI-B313#fbid=
Edgenet 社のサービス概要は、次のとおりです。
Edgenet 社は、Supplier(製造業者)や Retailer(小売業者)、Bing や Google などの検索エンジン向けに、最適化された商品データを提供しています(消費者が、製品を購入するにあたって、比較に役立つ商品データを提供)。従来のシステムでは、データの件数が多い場合に、バッチ処理に時間がかかってしまう(データの遅延が発生してしまう)、参照データにおけるロック待ちを回避するために、アプリケーション層でデータ キャッシュを用意している、といった課題がありました。
同社では、これらの課題を解決するべく、インメモリ OLTP 機能を採用し、商品データをできる限りリアルタイムで配信できるように改善しました。商品データを生成するための各種のバッチ処理の性能は、8倍~11倍に向上し、従来のシステムでは 2時間 40分もかかっていた処理を、わずか 20分で完了するようになりました(前掲のグラフ)。
インメモリ化したテーブルで、データ件数が一番大きいものは 1.15億件、SCHEMA_AND_DATA オプションを利用してデータを永続化しています。そして、性能向上を実現するために、Delayed Durability(遅延永続化)オプションをデータベース レベルで設定しています(Delayed Durability の設定方法や利用方法については、第2章以降で説明します)。
また、インメモリ OLTP 機能を採用することで、バッチ処理中(データ更新中)のデータを参照できるようになったので(ロック待ちが発生しなくなったので)、アプリケーション層でのデータ キャッシュも用意する必要がなくなりました。
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