松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]
従来ながらのディスク ベースの RDB(リレーショナル データベース)では、性能低下を引き起こす原因として、主に次の 5つがあります。
これらが原因で性能が低下している場合は、インメモリ OLTP 機能を採用することで、性能向上を期待することができます。
ロック待ちやラッチ待ちは、前述したように、多数のユーザーが同時に同じデータ(やページ)を操作することで発生する "待ち" ですが、インメモリ OLTP 機能では、ロックおよびラッチを利用しないアーキテクチャ(Lock Free/Latch Free)を採用しているので、こういった待ちに悩まされることがなくなります。
バッファ管理は、ディスクからデータ バッファ(メモリ)への読み込みとチェックポイント時のデータ ファイル(.mdf)への書き込みがありますが、前者はメモリを追加することで対応できます。インメモリ OLTP では、テーブル内の全てのデータをメモリへ配置(インメモリ化)します。その分のメモリが必要になりますが、データベース内のすべてのテーブルをインメモリ化する必要はなく、性能を向上させたいテーブルのみをインメモリ化することができます。
チェックポイント時のデータ ファイルへの書き込みは、詳しくは後述しますが、従来のデータベース エンジンよりも、インメモリ OLTP 機能でのデータの書き込みのほうが負荷が軽いことを確認しています。また、インメモリ OLTP 機能では、SCHEMA_ONLY(データの永続化なし)オプションを利用して、データの書き込みを行わないようにすることもできます。
インデックス管理は、従来のデータベース エンジンにおける通常のインデックス(b-tree 構造)でのメンテナンス コストです。b-tree インデックスでは、データが追加/更新されて、データが増えていくと、断片化が発生して、速度低下を引き起こします。これを解消するには、インデックスを再構築(ReBuild)または再構成(ReOrganize)しなければなりません。この処理は、処理の履歴をトランザクション ログへ書き込むので、データベース ミラーリングや、AlwaysOn 可用性グループを利用している場合には、その処理履歴をミラー サーバーへ転送する負荷もかかります。
インメモリ OLTP 機能では、ハッシュ インデックスがサポートされたことで、断片化に悩まされることがなくなり、再構築や再構成は必要ありません。また、インデックスに関する更新情報は、トランザクション ログに記録しないアーキテクチャを採用しているので、ログへの書き込み量を削減できるというメリットも得られます。
ログへの書き込みは、前述したように、インメモリ OLTP 機能でも、SCHEMA_AND_DATA(データの永続化有り)オプションを利用している場合には行いますが、インデックスに関する更新情報をログへ記録しない分、性能面でのメリットが得られます。また、Delayed Durability(遅延書き込み)オプションを利用することで、ログへの書き込みを非同期で行えるようになるので、性能向上を実現することができます。
SCHEMA_ONLY(データの永続化なし)オプションを利用した場合であれば、ログへの書き込みを行わないこともできるので、その分大きく性能を向上させることができます。
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