Microsoft SQL Server 2016 自習書シリーズ （HTML 版）
「No.3 Reporting Services の新機能」

3.5　選択一覧でデータの絞り込み（スライサー／パラメーター）

次に、従来のレポートにおけるパラメーターや、Power BI におけるスライサーのように、データの絞り込みが行えるパーツを追加して、商品区分ごとに商品の売上を表示するようにしてみましょう。これを行うには、選択一覧（Selection List）というパーツを利用します。

1．まずは、［レイアウト］ボタンをクリックして、［レイアウト］ページを開きます。

次に、合計グラフを右に 2グリッド分移動して、左側を空けるようにします。

その空いたスペースに、［ナビゲーター］カテゴリの［選択一覧］パーツをドラッグ＆ドロップして配置し、横 2グリッド、縦 3グリッド分の大きさに変更します。

2．次に、［選択一覧］パーツに商品区分データを割り当てるために、［データ］ボタンをクリックして、［データ］ページを開きます。

3．［データのプロパティ］セクションの［キー］と［ラベル］で「ds_受注クエリ」データセットの「区分名」列を設定することで、［選択一覧］パーツに商品区分名を表示して（Label）、内部的なデータの絞り込みで利用する値（キー）も商品区分名にすることができます。

4．続いて、［選択時にこれらのデータセットをフィルターにかける］セクションで、「SimulatedFilterTable」へのチェックを外して、「ds_受注クエリ」データセットの「区分名」列を設定します。これによって、モバイル レポート内の他のパーツが、選択一覧の「区分名」を選択した場合に、連動してデータを絞り込めるようになります。

5．次に、合計グラフが選択一覧（選択一覧 1）と連動するようにするために、［レポートの要素］の「合計グラフ 1」をクリックして選択します。

6．次に、［データのプロパティ］セクションで、［系列名フィールド］の「商品名」の隣にある［オプション］ボタンをクリックします。［次に基づいてフィルター］ポップアップが表示されたら、［選択一覧 1］にチェックを付けて、［完了］ボタンをクリックします。

これによって、選択一覧 1 で区分名を選択した場合に、合計グラフ 1 が連動するようになります。

7．設定後は、［プレビュー］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを表示し、選択一覧 に商品区分名（飲料や調味料、乳製品など）が表示されていることを確認します。

続いて、選択一覧内の任意の区分名（飲料など）をクリックすると、選択した商品区分の商品データのみ（飲料の場合は、バードワインやナイトワイン、ビリビリビールなど）が 合計グラフ（横棒グラフ）に表示されていることを確認できます。

次に、別の商品区分（魚介類など）もクリックしてみてください。

「魚介類」区分をクリックした場合は、北海道昆布や特選味のり、特選にぼしなどに絞り込まれて表示されていることを確認できます。

このように、選択一覧パーツを利用すれば、従来のレポートにおけるパラメーターや、Power BI におけるスライサーのように、データの絞り込みを行えるようになります。

8. 動作の確認後は、［←］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを終了します。

◆ 選択一覧をツリー形式に変更する

次に、選択一覧 パーツをツリー形式で表示するように変更してみましょう。

1．まずは、［レイアウト］ボタンをクリックして、［レイアウト］ページを開き、レポート内の選択一覧パーツ（選択一覧 1）をクリックして選択します。

［データ構造］を既定の「リスト」から「ツリー」に変更します。これで、選択一覧パーツを ツリー形式で表示（すべて以外の区分名を字下げして表示）できるようになります。

2．設定後、［プレビュー］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを表示します。

すべて以外の区分名が字下げして表示されるので、見やすくなったと思います。

3．動作を確認したら、［←］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを終了します。

◆ すべてを非表示にする

選択一覧の「すべて」は、非表示にすることもできます。これも試してみましょう。

1．選択一覧の「すべて」を非表示にするには、レポート内の選択一覧パーツ（選択一覧 1）をクリックして選択し、［すべて選択を許可］を「オフ」に設定します。

2．設定後、［プレビュー］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを表示します。

3．動作を確認したら、［←］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを終了します。

◆ 2つ目の選択一覧の追加（在籍支社での絞り込みを追加）

次に、もう１つ選択一覧を追加して、社員の在籍支社ごとに商品の売上データを絞り込めるように変更してみましょう。

1．まずは、レイアウト ページで、最初の選択一覧（区分名の選択一覧）の横幅を 1グリッド分小さくして、合計グラフとの間にスペースを作ります。

次に、空けたスペースに、2つ目の選択一覧をドラッグ＆ドロップで配置して、縦に 3グリッド分広げるようにします。

配置した 選択一覧 には、「選択一覧 2」という名前が命名されています。パーツの名前は、既定では、パーツ名に 1、2、･･･ と連番が付与されたものが命名されるようになっています。この名前は、パーツの一番上に表示されるタイトルにもなるので、［タイトル］を変更することで、名前を変更することもできます。

2．次に、「選択一覧 2」に社員の在籍支社を割り当てるために、［データ］ボタンをクリックして、［データ］ページを開きます。

3．［データのプロパティ］セクションの［キー］と［ラベル］で「ds_受注クエリ」データセットの「在籍支社」列を設定して、［選択時にこれらのデータセットをフィルターにかける］セクションで、「SimulatedFilterTable」へのチェックを外して、「ds_受注クエリ」データセットの「在籍支社」列を設定します。

これによって、モバイル レポート内の他のパーツが、選択一覧 2 の「在籍支社」を選択した場合に、連動してデータの絞り込みができるようになります。

4．次に、合計グラフが 2つ目の選択一覧（選択一覧 2）と連動するようにするために、［レポート要素］の「合計グラフ 1」をクリックして選択します。

5．次に、［データのプロパティ］セクションで、［系列名フィールド］の［商品名］の隣にある［オプション］ボタンをクリックします。［次に基づいてフィルター］ポップアップが表示されたら、［選択一覧 2］にチェックを付けます。確認後、［完了］ボタンをクリックします。

これによって、選択一覧 2 で在籍支社を選択した場合に、合計グラフ 1 が連動するようになります。

6．設定後、［プレビュー］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを表示します。

2つ目の 選択一覧（選択一覧 2）に在籍支社（大阪支社や北九州支社、東京本社）が表示されていることを確認できます。

また、「選択一覧 1」で任意の区分名を、「選択一覧 2」で任意の支社を選択すれば、商品区分ごと、かつ在籍支社ごとにデータが絞り込まれた状態で、売上データを表示することができます。例えば、次のように［魚介類］区分で［北九州支社］を選択すると、「特選にぼし」が No.1 の売上（240K の売上：Kはキロの略、売上比率は全体の 21%）であることが分かります。

合計グラフは、既定では、データの大きい順に並び替えて表示されるので、売上の大きいデータを簡単に確認することができます。また、金額だけでなく、売上比率も表示されるので、一番売上のあった商品が、全体の何％ なのかといったことも簡単に確認することができます。例えば、上のグラフのように［北九州支社］の［魚介類］区分であれば、「特選にぼし」の売上比率が 21%なので、魚介類のうちの 1/5 以上もの売上になっていることが分かります。

7．動作を確認したら、［←］ボタンをクリックして、レポートのプレビューを終了します。

Note： 合計グラフの並び替え順を変更したい場合
合計グラフは、既定では、データの大きい順に並び替えて表示されますが、これを変更することもできます。これを行うには、次のように［データ ポイントの並べ替え］で設定を変更することができます。