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SQL Server 2012 自習書 「No.18 セキュリティ」(HTML 版)

松本美穂と松本崇博が執筆した完全オリジナル SQL Server 2012 自習書シリーズの「No.18 セキュリティ」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2013年12月29日]

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4.4 データベースに対する操作履歴の監査

◆ データベースに対する操作履歴の監査

SQL Server Audit では、SQL Server に対するあらゆる操作を監査することができるので、データベースに対する操作(SELECT や INSERT、UPDATE、DELETE など)も、もちろん監査(ログ記録)することができます。

◆ Let's Try

それでは、これを試してみましょう。ここでは、NorthwindJ データベース内の「得意先」テーブルに対して「SELECT」ステートメントが実行されたことをログへ記録する監査(Audit)を作成してみましょう(NorthwindJ データベースのセットアップ方法については、Step 1.4の手順を参考にしてください)。

1.まずは、[データベース]フォルダーの[NorthwindJ]データベースを展開して、[セキュリティ]フォルダーの[データベース監査の仕様]を右クリックし、[新しいデータベース監査の仕様]をクリックします。

00149

これにより、「データベース監査の仕様の作成」ダイアログが表示されるので、[監査]で前の手順で作成した「AuditTest」を選択し、[監査アクションの種類]で「SELECT」を選択します。

2.次に、[オブジェクト名]の[...]をクリックして、次のように「オブジェクトの選択」ダイアログで[参照]ボタンをクリックして、「得意先」テーブルを選択します。

00150

3.続いて、次のように[プリンシパル名]の[...]をクリックして、「オブジェクトの選択」ダイアログで[参照]ボタンをクリックして、「dbo」データベース ユーザーを選択します。

00151

このように設定することで、NorthwindJ データベース内の「得意先」テーブルに対して、「dbo」ユーザーから「SELECT」ステートメントが実行された場合に、ログへ記録できるようになります。設定を確認後、[OK]ボタンをクリックして、ダイアログを閉じます。

4.次に、作成したデータベース監査の仕様(既定では DatabaseAuditSpec ~ という名前)を右クリックして[データベース監査の仕様の有効化]をクリックします。

00152

以上で監査の設定が完了です。

◆ 監査ログの記録とログの参照

1.次に、監査対象の「得意先」テーブルに対して、次のように SELECT ステートメントを実行して、監査ログへ記録されるかどうかを確認します(この手順は、dbo ユーザーにマッピングされている SQL Server の管理者アカウントから実行してください)。

00153

2.続いて、監査ログを参照します。[セキュリティ]フォルダーの[監査]フォルダーにある監査(AuditTest)を右クリックして、[監査ログの表示]をクリックします。

00154

ログの中で、[アクションID]へ「SELECT」と表示されているイベントを確認することができます。この中身を参照すると、前の手順で実行した SELECT ステートメントが記録され、そのステートメントを実行したユーザー(ログインID)と実行した時刻などを確認することができます。

このように、SQL Server Audit を利用すると、データベースに対するあらゆる操作を監査(ログ記録)できるので、「得意先」や「顧客」テーブルなどを監査すれば、顧客情報(クレジット カードや個人情報など)の漏えいが発生した場合の証跡を残せるようになります。また、特権ユーザー(管理者権限を持ったアカウント)の操作履歴(SQL Server に対する管理操作やデータ操作)をすべて監査しておけば、不正利用(管理者アカウントを悪用したデータの盗難やトロイの木馬の設置など)を監視できるようになります。

以上のように、SQL Server Audit は、J-SOX 法(日本版 SOX 法)や内部統制PCI DSS(クレジット カード情報のセキュリティ基準)などのコンプライアンス(法令遵守)の実現およびセキュリティの強化には、不可欠な機能になります。従来のバージョンのプロファイラー(SQL Server Profiler)でも、同様に監査ログを記録することができますが、プロファイラーとの違いは、SQL Server Audit のほうが設定が容易で、かつパフォーマンスが良い(監査のオーバーヘッドがプロファイラーよりも小さい)という点です。ぜひ、活用してみてください。

プロファイラーと SQL Server のパフォーマンス比較については、SQL Server 2008 徹底検証シリーズの以下のドキュメントに詳しく記載されています。

コンプライアンス実現のためのガイドライン
http://www.microsoft.com/ja-jp/sqlserver/2008/r2/technology/cqi.aspx

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