松本美穂と松本崇博が執筆した完全オリジナル SQL Server 2012 自習書シリーズの「No.18 セキュリティ」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2013年12月29日]
オブジェクト権限の設定時は、「許可」(GRANT)と「拒否」(DENY)、「取り消し」(REVOKE)の 3種類の状態があります。
許可がチェックされている場合は「許可」(GRANT)、拒否がチェックされている場合は「拒否」(DENY)、どちらもチェックされていない場合は「取り消し」(REVOKE)状態です。それぞれの違いは、後ほど試します。
前述したように public ロールは、すべてのデータベース ユーザーが含まれる特殊なデータベース ロールです。したがって、public ロールに対して、オブジェクト権限が許可(GRANT)されている場合は、すべてのデータベース ユーザーが許可されることになります。
たとえば、次のように public ロールへ選択(SELECT)権限が許可(GRANT)され、sqlUser01 ユーザーには取り消し(REVOKE)が設定されている場合があるとします。
この場合は、sqlUser01 ユーザーは、選択権限を許可された状態と同じになります。
許可(GRANT)と拒否(DENY)の両方が設定されている場合は、拒否が優先されます。たとえば、次のように public ロールへ選択(SELECT)権限が許可(GRANT)され、sqlUser01 ユーザーには拒否(DENY)が設定されている場合があるとします。
この場合は、拒否が優先されて、sqlUser01 ユーザーは、選択権限が拒否された状態になります。
それでは、オブジェクト権限を試してみましょう。
1.まずは、「社員」テーブルを右クリックして[プロパティ]をクリックし、[テーブルのプロパティ]ダイアログの[権限]ページを開きます。
現在は、sqlUser01 ユーザーに対して、「選択」権限が「許可」(GRANT)されていることを確認できます(Step 2 で設定しました)。
2.続いて、public ロールに対して、オブジェクト権限を設定するために、次のように[ユーザーまたはロール]の[検索]ボタンをクリックします。
3.[ユーザーまたはロールの選択]ダイアログが表示されたら、[参照]ボタンをクリックします。
[オブジェクトの参照]ダイアログでは、「public」ロールをチェックして、[OK]ボタンをクリックします。
[ユーザーまたはロールの選択]ダイアログへ戻ったら、[OK]ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。
4.[テーブルのプロパティ]ダイアログへ戻ったら、public ロールを選択した状態で、「更新」と「挿入」の「許可」をそれぞれチェックします。
5.続いて、sqlUser01 ユーザーへ権限を設定するために、「sqlUser01」ユーザーを選択して、「選択」の「許可」がチェックされていることを確認し、「更新」の「拒否」をチェックします。
設定後、[OK]ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。
設定した権限をまとめると、次のようになります。
次に、sqlUser01 ログイン アカウントでログインして、オブジェクト権限の設定を確認してみましょう。
1.まずは、ツールバーの[データベース エンジン クエリ]ボタンをクリックします。
[データベース エンジンへの接続]ダイアログでは、[認証]で「SQL Server 認証」を選択して、[ログイン]へ「sqlUser01」、[パスワード]へ「P@ssword」と入力し、[接続]ボタンをクリックします。
2.クエリ エディターが表示されたら、「sampleDB」データベースへ接続して、「社員」テーブルを参照する SELECT ステートメントを実行してみましょう。
この操作は成功し、sqlUser01 ユーザーが、社員テーブルに対して「選択」権限を持っていることを確認できます。
3.次に、INSERT ステートメントを実行して、データを追加してみましょう。
この操作も成功し、sqlUser01 ユーザーが、社員テーブルに対して「挿入」権限を持っていることを確認できます。sqlUser01 ユーザーには、直接、挿入権限は許可されていませんが、public ロールに対しては挿入権限が許可されているためです。
4.次に、UPDATE ステートメントを実行してみましょう。
この操作は失敗し、sqlUser01 ユーザーは、「更新」権限が拒否されていることを確認できます。オブジェクト権限は、次のように設定していました。
public ロールに対しては、更新権限を「許可」していますが、sqlUser01 ユーザーに対しては「拒否」しています。「拒否」は、「許可」よりも優先されるので、sqlUser01 ユーザーは、UPDATE ステートメントに失敗しています。
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