松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2012 自習書シリーズの「新機能編 No.3 DWH 関連の新機能」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2014年12月26日]
SQL Server 2012 には、非常に多くの BI(Business Intelligence)関連の新機能が提供されています。ここでは次の 4つに分けて概要を説明します。
SQL Server 2012 では、Power View と呼ばれる、新しいデータ分析/レポーティング ツールが提供されています。Power View を利用すると、従来のレポーティング ツールであるレポートビルダーや、高度なデータ分析が可能な PowerPivot for Excel ツールよりも、容易に見栄えの良いデータ分析レポートを作成することが可能です。
以下の画面は、Power View を利用してデータ分析レポートを作成しているときの様子です。
このように、より使いやすいレポーティング ツールが登場したことで、エンドユーザーが自らレポートを作成する「セルフ サービス データ分析」がより実現しやすくなりました。
PowerPivot for Excel は、SQL Server 2008 R2 から提供されたデータ分析ツールですが、SQL Server 2012 の PowerPivot for Excel はバージョン アップして、多くの新機能が提供されました。その主なものは、以下のとおりです。
以下の画面は、ダイアグラム ビューでリレーションシップを設定しているときの様子です。
以下の画面は、KPI をグラフィカルに設定しているときの様子です。
このように PowerPivot for Excel はバージョン アップして、さらに本格的なデータ分析レポートが簡単に作成できるようになりました。
また、後述の Analysis Services テーブル モデル(Tabular Model)を利用した場合には、以下の機能も利用できるようになるので、ビッグデータ対応や性能向上、セキュリティの強化を実現することも可能になりました。
SQL Server 2008 R2 では、PowerPivot で採用されたインメモリのカラムベース エンジン「VertiPaq」で動作する Analysis Services は「PowerPivot for SharePoint」としてインストールした場合にのみ利用することができましたが、SQL Server 2012 からは、VertiPaq エンジンが進化して、「xVelocity」という名称へ変更され、単体でも動作させることができるようになりました。SQL Server 2012 では、インストール時に以下の画面のように「表形式モード」(Tabular Mode)を選択することで、単体の Analysis Services エンジンとして xVelocity モードで動作させることが可能です。
また、SQL Server Data Tools(以前のバージョンの Business Intelligence Development Studio)では、新規プロジェクトの作成時に、次のように「Analysis Services 表形式プロジェクト」(Tabular Project)を選択することで、xVelocity モードの Analysis Services へ配置可能なデータベース(テーブル モデル)を作成できるようになりました。
以下の画面は、テーブル モデル(表形式モデル:Tabular Model)のプロジェクトを作成しているときの様子です。
テーブル モデルは、PowerPivot for Excel と同じような操作性で作成することができます。また、このモデルでは、「ロールを利用した行レベルのセキュリティ」や「パーティショニング」機能が利用できるので、セキュリティ強化やビッグデータへの対応、性能向上を実現することも可能になりました。
SQL Server 2012 では、Reporting Services の新機能の 1つとして「データ警告」機能が提供されました。この機能を利用すれば、レポート内のデータを利用して、特定のルールに基づいて、メールを送信するといったことを簡単に行えるようになります。たとえば、「在庫<=発注点」というルールを設定して、在庫が発注点を下回ったら、メールを送信する、という設定の場合は、次のように設定します。
このように、データ警告を利用すれば、フィールド間あるいは特定の値に対してルールを設定することができ、その結果を定期的にメールとして通達することができるので、大変便利です。
SQL Server 2012 には、まだまだ多くの BI/DWH 関連の新機能が提供されています。その主なものは、次のとおりです。
15,000 パーティションのサポート
Apache Hadoop への対応(Hadoop Connector による連携など)
このように、SQL Server 2012 では多くの BI/DWH 関連の新機能が提供されています。これらのうち、BI 関連の注目の新機能(Power View やデータ警告、PowerPivot のバージョン アップ、テーブル モデルなど)については、ステップ バイ ステップ形式で説明した本自習書シリーズの新機能編「No.4 BI 新機能ダイジェスト」も用意しているので、こちらもぜひご覧いただければと思います。
最後までこの自習書を試された皆さま、いかがでしたでしょうか? SQL Server 2012 には、多くの DWH/BI 関連の新機能が提供されていることを確認していただけたのではないでしょうか。特に、列ストア インデックスは、大きな性能向上を実現することができ、さまざまな場面で活用できるものなので、ぜひ活用してみてください。
この自習書は、「DWH 関連の新機能」版ということで、DWH 関連の新機能に絞ったものでしたが、SQL Server 2012 ではどんな新機能が提供されているのか?ということを知りたい方は、本自習書シリーズの新機能編「No.1 新機能ダイジェスト」をぜひご覧いただければと思います。
http://www.microsoft.com/ja-jp/sqlserver/2012/technology/self-learning.aspx
また、オンライン ブック(SQL Server のヘルプ)にも詳細手順が記載されているので、こちらもご覧いただければと思います。
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms130214.aspx
第60回:SQL Server 2017 自習書 No.3「SQL Server 2017 Machine Learning Services」のご案内
第59回:SQL Server 2017 自習書 No.2「SQL Server 2017 on Linux」のご案内
第58回:SQL Server 2017 自習書 No.1「SQL Server 2017 新機能の概要」のご案内
第57回:SQL Server 2017 RC 版とこれまでのドキュメントのまとめ
第56回:「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」完成&公開!
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第54回:「SQL Server 2016 プレビュー版 Reporting Services の新機能」自習書のお知らせ
第 53 回:SQL Server 2016 Reporting Services の新しくなったレポート マネージャーとモバイル レポート機能
第 52 回:SQL Server 2016 の自習書を作成しました!
第 51 回:PASS Summit と MVP Summit で進化を確信!
第 50 回:新しくなった Power BI(2.0)の自習書を作成しました!
第49 回:Excel 2016 の Power Query を使う
第 48 回:新しくなった Microsoft Power BI ! 無料版がある!!
第 47 回:「Microsoft Azure SQL Database 入門」 完成&公開!
第 46 回:Microsoft Power BI for Windows app からの Power BI サイト アクセス
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第42回:Power Query プレビュー版 と Power BI for Office 365 へのクエリ保存(共有クエリ)
第41回:「SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要」自習書のお知らせです
第40回: SQL Server 2012 自習書(HTML版)を掲載しました
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