松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2012 自習書シリーズの「新機能編 No.3 DWH 関連の新機能」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2014年12月26日]
列ストア インデックスは、大量のデータに対する集計処理で大きな性能向上を期待できる新機能です。特に、夜間バッチ処理時(夜間バッチでの日次集計や月次集計処理など)や、DWH(データ ウェアハウス)環境での集計処理に大変役立つ機能です。
列ストア インデックスは、SQL Server 2008 R2 の PowerPivot for Excel で実装されたインメモリのカラムベース エンジン(xVelocity エンジン)を RDB へ応用したものです。このエンジンでは、列単位でインデックスを格納し、それらは高度に圧縮されています。
弊社のお客様データ(1億2千万件の DWH)を利用して、列ストア インデックスの性能効果を検証したところ、以下のような結果が得られました。
検証で利用したのは売上データが 1億2千万件格納されている「売上」テーブルで、このテーブルには「売上年月」、「売上金額」、「売上数量」列などがあり、以下の SELECT ステートメントを実行したときの結果を比較しました。
グラフの FullScan は、インデックスが使用されないフル テーブル スキャンが実行されたときの速度、IndexScan は、非クラスター化インデックスを(売上年月, 売上金額, 売上数量)で作成/利用したとき、ColumnStore が列ストア インデックスを作成/利用したときの実行速度です。ベンチマーク結果の公開は、使用許諾契約書で禁じられているので、グラフ内の結果は、それぞれ列ストア インデックスでの実行時間を 100 とした場合の相対値で表しています。
列ストア インデックスを利用することで、DISTICT 処理では、フル スキャンに比べて 102倍、インデックス スキャンに比べて 59.7倍の性能向上、GROUP BY 処理では、フル スキャンに比べて 46.9倍、インデックス スキャンに比べて 25倍もの性能向上を確認することができました。なお、各テストで使用したデータは、すべてメモリ上のデータ バッファ キャッシュ内へ格納されている状態でテストしました。したがって、初回アクセス時の(メモリ内にデータが存在しない場合の)ディスクからの読み取りが伴う場合には、さらに性能差が顕著に現れることになります。
今回の結果の 25倍という差は非常に大きいもので、たとえば次のような「売上年月ごとの売上金額を表示するレポート」を思い浮かべてみてください。
このレポートを表示するのに今まで 10秒かかっていたとします。ここに列ストア インデックスを利用できるとすれば、25倍もの性能向上が得られるので、わずか 0.4秒(10秒の 25分の 1 のスピード)でレポートが表示されるわけです。コンピューターの世界では、3秒以上の待ち時間があったとすると、ユーザーが "遅い" と感じると言われています。しかし、従来のインデックスの作成方法では、データ件数の規模が数億件レベルになる場合には、数秒間もの待ち時間が発生してしまうのです。これを列ストア インデックスに変更することができれば、1秒以内でのレスポンスを期待できるようになります。
また、列ストア インデックスは、このように GROUP BY 演算などによる集計処理で大きな効果を発揮するので、夜間バッチ処理時(夜間バッチでの日次集計や月次集計処理など)にも大きな性能向上を期待できます。
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