松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2012 自習書シリーズの「新機能編 No.2 AlwaysOn による可用性の向上」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2014年12月26日]
次に、VB や C# などのアプリケーションから ADO.NET を利用して、可用性グループへ接続する方法を試してみましょう。とはいっても、通常の SQL Server へ接続する場合と同様、接続文字列を次のように記述するだけで接続できます。
Data Source 句でリスナー名(仮想サーバー名)を指定するだけで、可用性グループへ接続することができます。また、自動フェールオーバーや手動フェールオーバーが発生しても、どのサーバーが処理しているかを意識することもなく、透過的に接続することが可能です。
それでは、これを試してみましょう。ここでは、Visual Studio 2010 の Visual Basic 10.0 から ADO.NET 4.0 を利用して、「AGTestDB」データベースへ接続してみましょう(Visual Studio 2005 や 2008、2012 でも同様の手順で試すことができます)。
次のようにボタン(Button1)をクリックすると、SQL Server へ接続して、「t1」テーブルのデータを取得し、リスト ボックス(ListBox1)へ結果を表示するようにします。
1.まずは、[スタート]メニューから Visual Studio 2010 を起動します。
2.起動後、[スタート]ページの[新しいプロジェクト]をクリックして、新しいプロジェクトを作成します。
[新しいプロジェクト]ダイアログが表示されたら、[インストールされたテンプレート]から[Visual Basic]を選択して、「Windows フォーム アプリケーション」を選択します。[名前]には、任意の名前(WindowsApplication1 など)を入力して、[OK]ボタンをクリックします。
3.次に、ツールボックスから[Button]と[ListBox]をドラッグ&ドロップして、フォーム上へ配置します。
配置後、ボタン(Button1)をダブル クリックして、コード エディターを開きます。
4.コード エディターでは、コードの先頭へ以下を記述します。
5.次に、ボタン(Button1)の Click イベント ハンドラーへ次のように記述して、「AGTestDB」データベースへ接続し、「t1」テーブルのデータを取得します(コード入力が面倒な方は、サンプル スクリプト内の完成版のファイル(WindowsApplication1 フォルダー内の ADONET_code.txt ファイル)を開いてください。
Data Source 句へはリスナー名(AG1_Listener)、Initial Catalog 句へはデータベース名(AGTestDB)を指定します。このコードでは、まず cmd.CommandText で指定した「SELECT @@SERVERNAME」を実行して、どのサーバーが処理したかをメッセージ ボックス(MessageBox.Show)で返し、次の cmd.CommandText で指定した「SELECT * FROM t1」ステートメントで取得した t1 テーブルのデータをリストボックス(ListBox1)へ表示します。
6.コードを記述後、[デバッグ]メニューから[デバッグ開始]をクリックして、実行します。
ボタンをクリックすると、処理したサーバーの名前(SERVER1)がメッセージ ボックスで表示されて、「t1」テーブルのデータ 3件(1、2、3)がリストボックスへ表示されることを確認できます。
7.正しくデータを取得できたことを確認したら、アプリケーションを終了して、デバッグを停止します。
このように可用性グループでは、リスナー名を利用して接続することで、どのサーバーが処理したのかを意識することなく、アプリケーションを作成することができます。このアプリケーションは、フェールオーバーが実行された後(セカンダリがプライマリへ切り替わった後)でも正しく動作します。次の Step では、手動フェールオーバーを試すので、この動作を確認することができます。
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